2017年9月20日水曜日

自分の身体にもっと思いやりを

Column 2017 No.52

 私たちの身体は、物理的には目に見えない精神(心)と物理的に目に見える肉体で出来ています。精神(心)で人生を感じ味わい、肉体で生きている実感を味わい、生を楽しんでいます。私たちの身体は “大海原を航海してくれる船”です。

 そして船の中から、天与の視・聴・触覚でもって人生を味わい楽しんでいます。視覚で海・空・山・星々・森・花々…等の自然を楽しみ、書籍・絵画・映画・舞台等を楽しみ、子ども・伴侶・友人・ペット等の表情を見つめて幸福感に満たされます。聴覚で波の音・鳥の声・風の音・雨の音・音楽…等を聴いて楽しみ味わっています。味覚で食事・美酒・スイーツの美味しさを楽しみ、味覚を生かして美味しいお料理を作ります。嗅覚で海の香・花の香・森の香・食べ物の香…等を楽しんでいます。触覚で自然を体感し、人と繋がり愛を確かめ合います。

 身体に備わった、この五感と精神(心)は、絶妙に融合し協調して、私たちの大海原の航海を見守り、人生をかけて私達を救護し楽しませてくれています。ところが一生をかけてお世話になっているその心と身体を、私たちはどれだけ意識し、大切にし、感謝をしているでしょうか。知らず知らずのうちに無理をしていると“身体を酷使していますよ!”“身体に無関心すぎますよ!”と、身体は症状を示して警告してくれます。 私自身も寝不足が続いたり、ついつい休息することを怠って不養生が続くことがあります。すると頭痛が来たり、不整脈を起こしたりして絶妙にサインが送られてきます。私たちの身体は、私たちが楽しく無事に人生を航海していけるように…と、懸命に見守ってくれているのです。愛に溢れているのです。

身体が発信する“信号”“身体語”を日々正しく受け止めること。
それが養生の第一歩です  五木 寛之

 若い頃に比べると私自身も、ちょっとした段差や、何かの端に躓いて転ぶことも出てきました。こんな時、以前の私は、「ほんとうにつまらんねえ…。こんなことで!」…と、本当に痛くてとてもせつない時に、本当は一番優しさが欲しい時に、自分に対して嫌悪と誹謗で接してしまっていました。不安や恐れの感情で接することはあっても、共感と愛情のまなざしで接してあげられることはあまり無かったような気がします。

 今は少し違ってきました。傷んだ体をさすりながら、「痛かったねえ!痛かったねえ…。ごめんね!今度から気を付けるよ…」と、咄嗟に言えるようになりました。(これも訓練です…)そして不思議なのです。すると身体はちゃんと答えてくれるのです。“大丈夫よ…”と。不思議なほど痛みも和らぎ、重篤な症状にならない…そんな経験を何度もしています。

 医師の長堀 優氏は「…米国の細胞生物学者、ブルース・リプトン博士は“細胞一個一個に感性がある”と言っています。例えば単細胞のミドリムシは餌があれば寄っていくし、毒が来ると逃げていく。単細胞ですから脳みそも神経もないわけですが、そういったことが全部わかる。だから博士は“細胞はそれだけで完璧な生命体である。しかも生きる感性を持っている…ということを言っているんです。そうであれば癌も細胞ですから、生きる感性があるので、当然人間の思いとも関係してくる…」と述べています。

 最近読んだ次の書籍は、そのことを立証するような、驚くような実体験が書かれていました。今回のコラムはその著者である工藤 房美氏のメッセージを中心に、お届けしたいと思います。その頃彼女は、末期の癌で子宮から肺・肝臓・腸骨…と癌は全身に転移し、手の施しようがない状態で、医師からは「広がりすぎて手術は不可能です。抗がん剤治療だけをやります。残念ですが1ヶ月の命です…」とある日宣告されます。彼女には3人の子どもがいるので、“まだ死ねない!”と、その現実を受け入れることができず、打ちひしがれ、絶望状態に陥ります。

 しかし、彼女は、入院中知人から送られてきた 村上 和雄著の「生命の暗号」(サンマーク出版)という書籍に出逢っていました。そして神秘的な遺伝子の働きを知った彼女は、雷に打たれたような衝撃を受けます。“…こんなに自分のために働き続けてくれた細胞に全くの感謝もしないで無理を重ね、癌になってしまうほどに細胞を傷つけてしまった…。身体からの小さなサインの数々を無視し続けた結果、最終手段として細胞は癌という形で主張するしかなかったのだろう…。もっと関心をもって注意深く気持ちを聴いてあげればよかった…。申し訳なかった…”と。

 そして彼女は決意します。“残り少ない命だけれど、これまで支えてくれた60兆個の細胞と遺伝子に心を込めてお礼を言ってから死のう…”と。それからというもの、彼女は寝ても覚めても「細胞さん有難うございます!」と唱え続けます。
 癌細胞には最初は“有難う…”とは言えなかったけれど、健康な細胞に感謝の言葉を言い続けているうちに、とても自然に、癌細胞にもお詫びと感謝の言葉がでるようになった…と述べています。

「…私は癌が治るように“ありがとう!”と唱えたのではないのです。私を支えてくれていた細胞が、癌細胞になってまで自分に気付かせようとしてくれた、その健気さを心から愛おしいと思い、心からごめんなさい。これまでありがとう…という気もちになったのです。…抜け落ちていく一本一本の髪の毛にも“今まで私の髪の毛でいてくれてありがとう”と、感謝しました…」

 そしてこう言っています。「すべての細胞に、無心に“ありがとう!”と感謝していたら、有難いという気持ちが降ってくるようになった…。続いて“ありがとう”と言っていたら、さらに有難い気持ちが降ってきて、まるで雪のように心にふんわりと積もっていき、やがて“感謝”が心いっぱいに降り積もって、溢れだしてきた…そしてこれまでに経験したことのないような幸福感に満たされてきたのです…」と。

 そして自分が癌だということも、残り少ない命だということも、髪の毛が無いということも、そんなことが一切どうでもいい些細なことに思えた…。そしてただ感謝いっぱいで、嬉しくて幸福な気持ちに満たされていた…と言います。それから数か月後ですが、久々に訪れた病院での検査では、何と!肺を覆い尽くしていた水玉模様の癌も、肝臓にあったこぶし大の癌も、跡形もなく消えていた…。癌の告知から約10ヶ月後のことだった…。

 彼女は言います「…毎朝朝日を浴び、生かされていることに感謝し、自分の身体に、ひたすら”ありがとう”を言い続け、金髪のかつらをかぶってお友達に逢いに行き、そうやってわくわく楽しく過ごすなかで、(村上和雄先生の言われる)からだの95%の眠っていた遺伝子が目を覚ましたのでしょう。そして(癌細胞は健康細胞に変わり)本来の仕事である“健康に生きるための活動に”に加わりはじめたのでしょう」と…。そして「“ありがとう”の感謝の言葉は、正確には数えていませんが、優に10万回は超えたと思います…。」

今ある“苦しみ”は、本来の自分からのメッセージであり、
“愛に他ならない”のだと気付き、受け入れたとき、
その時こそ本当に心からの感謝ができるのだと思います
工藤 房美

工藤 房美氏 の書籍を紹介しておきます。
「遺伝子スイッチ・オンの奇跡」(風雲舎)


*次回のコラムは10月20日前後の予定です