2019年6月20日木曜日

「気づき」こそが人生の宝ものです

Column 2019 No.73

 私がお伝えしている講座では、受講者の方々お一人おひとりの気づきを、とても大切にしています。講座では、内容をお伝えした後には「何か気づきはありましたか」…と必ず投げかけます。“気づき”こそが、私たちの人生の思索を深め、人生の幅を広げていくからです。受講者の方々の、受講を終わった後の感想文は、感動的な気づきに溢れています。

 父親であり、医師でもあるK・Fさんの感想文です。その一部をご紹介します。

「…講座の中で最も衝撃でありましたのは、権威・権力によって自分が育てられ、それに影響、また依存していたことです。勉強ができればいい…と言うスパルタ式で教育された私は、創造性の欠如、新しいものを試すことを恐れる、事前に成功するという確信が必要…といった権威主義で育った弊害をそのまま受け、視野の狭い人生を送るようになっておりました。また反面では、自分自身も権威を振りかざし、少しでも反論されると権威を傷つけられたと言っては、腹を立てる度量のない人間であったことにも気付きました…(後略)」

 こうして受講者の中に起った気づきは、終わった後もそれぞれの中で熟成され、周りの人たちとの関係、自分自身の生き方の変容に繋がり、それからの人生を深く豊かにしていくのです。それは学んだ内容は勿論ですが、その人の中で起きてきた“気づき”が変容をもたらしていくのです。最後にK・Fさんは「…この講座に誘ってくれた次女。この子に追いつくことはできないかもしれませんが、せめて背中が見える位置で、人生マラソンをのんびり走ります…」とありました。

あらゆる経験は、ひとつの目的のために起きています。
その目的とは、あなたの気づきを拡大する…ということです
ポール・フェリーニ

 わたし自身、身体的にも精神的にも弱かった母親からの影響を、乗り越えようと決めた頃、やっと自立を目指して立ち上がったものの(コラムNo19)、自分の軸はまだまだ不安定で、生きることに対して、とても不器用でした。しかも常識に欠けるところが多々あり、困ったことに、お調子者の上に、少々大胆なところもあって、それ故に、今思い出しても、赤面するほどの赤恥をかいた経験や、悪意はないのに、気づいたら人を深く傷つけてしまっていたり…。逆に深刻になり過ぎて、一歩も前に進めなくなり、鬱的になったり…と、散々の人生だったなあ…と思います。しかし…

間違いを侵してばかりの人生は、
何もしなかった人生よりあっぱれである
バーナード・ショー

 このフレーズに出逢ったとき、何だかとてもほっとしたものです。ひとつひとつ思い出すのは辛いものもありますが、でも、そのひとつひとつ仕出かした行動から、私は、何と沢山のことを学んできたことでしょう。痛みが大きければ大きいほど、気付きも大きく深いもので、それは魂に刻印されるほどのものです。それまでの、いい子で、こじんまりと生きていた人生より、まさにあっぱれであった…と、今は心からそう思えるのです。

 人生の体験に失敗はない!心地いい体験も、身を切られるような辛い体験も、私にとってはみんな、“気づきに繋がる宝もの”だった…これは痛い体験から出た、私の信念です。今の私が自分の軸を信じて生きていけるのも、他者の痛みが幾らか解かるのも、傷ついたり人を傷つけたり…そういった痛みを伴った体験を通して得た気づきが、その都度あったからこそです。

 もっとも、周りに居た大人たちから、為すべき“すべ”を、前もって教えられていたら…と、無念に思ったことは多々ありました。しかし、今では、間違いを侵す自由を認めてくれたことに、また無知のままでいる自由を与えてくれたことに、むしろ心から感謝しています。

気づくことの大切さは 気づいたことは 次にそれが起った時に
それをコントロール(支配)出来るのです。気づいていないと
あなたはそこでまた躓(つまづ)いてしまうのです
タデウス・ゴラス

 私は受講者の方に伝えてきました。「…私たちが引き起こした出来ごと・出逢う現実は、すべて自分にとって意味のあること。だから絶対に自分を責めてはいけません。責めてしまったら、責めてしまった自分をも許しましょう。大切なことはその経験から学ぶこと。つまり気づくこと。私たちは学び・気づくために、その体験を無意識に引き寄せたのですから…。本気で気付けたら、もうその出来ごとは、まっすぐに反故(ほご)行き、つまりくずかごにあっさりと捨てることです」…と。

 もっとも、学ぼう!気付こう!…と勢い込まないでも、私たちの魂は、常に「自己実現」を目指していますから、その出来事から逃げ続けない限り、魂は学んでくれます。しかし万一、私たちが逃げてしまったとしても、私たちが学び切るまで、不思議ですが、手を変え品を変えてそれを引き寄せては、何度でも体験をさせてくれます。人間は成長に向かうようにできているのです。

人生は、失敗すること、負けること、苦悩すること…の方が
圧倒的に多いのではないかと思います。
でも、それがあるからこそ、我々は成長できて、強く生きていけるんです
井上 康生 

*次回のコラムは7月20日前後の予定です。

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