2023年7月20日木曜日

思いやりのある言葉はずっと心にこだまする

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思いやりのある言葉はずっと心にこだまする
マザー・テレサ
Column 2023 No.122

 “例え簡単な言葉であっても思いやりのある言葉はいつまでも心に残るものです”…とマザー・テレサは言います。私達もどこかで、誰かの行動や言葉の中に「思いやり」を感じて、心打たれた経験は一度や二度ではないでしょう。

 ちょっとした場面ですが、街中で私が店のウインドウに気を取られて歩いていた為に、若い女性とぶっつかってしまいました。本当は私がお詫びを言うべき場面なのに、相手の女性がすかさず「ごめんなさい!大丈夫でしたか?」と、本当に心からの思いやりとお詫びの言葉をくださったのです。何て心優しい人なんだろうと、マザー・テレサが言うように、その人のお顔と言葉が私の心にいつまでもこだましたものです。

 次の一文は20数年も前の記事だと思いますが、ある雑誌の投稿欄の切り抜きを大切に残していました。

 私は現在アルバイトをしていますが、
 先日職員の方のカップを洗っていて手を滑らせて割ってしまいました。
 見るからに高価そうなカップだけに謝罪をするのにとても緊張しました。
 ところが何と彼は「そろそろこのカップが飽きてきていたので、
 替えようと思っていたところなので、気にしないで下さい」…とのこと。
 私は胸を熱くして席に戻りました。神対応に感動しました

 この投稿文を拝見した時、私の心まで熱くなりました。壊して戸惑っている人を前に、瞬発的にこうした思いやりのある言葉が出せる人ってこの女性が書いていらっしゃるように、私もまさに“神対応!”を感じたことでした。

 心は誰にも見えないが、“心づかい”は見える。
 思いは見えないが“思いやり”は誰にも見える
 宮澤 章二(詩人1919~2005)

 こうした「思いやり」と言う精神は、人の心にもともとあるものなのでしょうか。それとも後天的に育つものなのでしょうか。前回のコラムにも重なりますが、やはり親にどれだけの愛をもって育てられてきたか…がその心を育てることに深く関係していると私は感じています。

 可愛がられ抱きしめられて育った子どもは 
 世界中の愛情を感じ取ることを覚える
 ドロシー・ロー・ノルト

 このフレーズの通り、母子確立感情(基本的信頼感)が確立すると、その子は周りの世界を信頼し、世界のどこにでも愛を見つけます。つまり基本的信頼感が確立すると、自分を愛するのと同じ感覚で周りの世界・人々を愛することができるのです。自分と他者に分離感がないので、他者の痛みが自分の痛みであり、他者の歓びが自分の歓びと感じられるようになりえるのです。その感覚が、他者の痛みに対して瞬発的に「神対応」のような思いやりとして現わされてくるのではないでしょうか。

 大人になった私達は今さら親からの愛情を求めても、多くは叶える事が不可能です。しかし出来ることはあります。そのひとつは自分自身への思いやりを精いっぱい見つけ、示してあげることです。一日一日と老いていく手足に対して、優しい慈しみのまなざしをもって見つめている人はどれだけいるでしょうか。

 多くは無意識ですが、私たちは自分自身にはとても厳しい視点で接しています。例えばまわりの誰かが何かに躓いて痛がっていらしたらすぐに駆け寄って、「痛かったでしょう」と優しい言葉が出せるのに、自分がつまずいて転んだりしたものなら「あんたはほんとにつまらんねえ!何処を見とるんね!」痛い上に本当に切なくて精いっぱいの共感と愛がほしい時に、こんな二重パンチをくらわせたりしていないでしょうか。さすが最近はこんな場面は少なくなりましたが、私もよくやっていたものです。

 自分自身への最高の思いやりは、今感じている正直な気持ちを決して否定しないで、そのままに丸ごと受け入れてあげることです。「びっくりしたよね」「本当に痛かったよね」…と。そして悲しいときも寂しいときもそのままに「さみしいね」「悲しいね」「しんどいね」…と。また怒りが湧いているときでさえも「本当に腹立つよね」…と言う具合に。その時の自分の感情をそのまま受け入れて、そのままを自分に返していくのです。これは親業の能動的なきき方(共感的対応)を応用した「セルフカウンセリング」で、感情を大きく和らげる力があります。

 また自分を励ましてあげる言葉も効果的です。「頑張っているよね!」「やったじゃない!」「上等!上等!」他にもいろいろとあなたなりの表現を考えてみて下さいね。こうした言葉を自分にあげると、思った以上に自信と元気が湧くものです。

 自分自身への思いやりに気づいていくと、私たちは息を吹き返してきます。本来の自分に戻っていきます。そしてやがて、自分自身への思いやりは周りの人々への思いやりに繋がり、世界への思いやりとして大きく広がり続けるのです。

 さて、人材育成の場面でも「思いやり」の精神がいかに大切かを述べている人は多いと思います。歴史上古い人ですが、日本海軍軍人であった山本五十六(1884~1943)が残した有名な名言があります。

 してみせて 言ってきかせて させてみて 
 ほめてやらねば 人は動かじ

 人を育てる心がけとして、まず自分がやって見せる。なぜこれが大切なのかを解かるように説明し理解させ、それから“さあ やってごらん”と促し、出来たときには必ず認める言葉で勇気づける。その結果人の心は育ち、やる気を起こすのだ…と彼は言っているのです。厳しい戦時下にあって、このような民主的な思考を持っていた人があったことに驚きます。彼のこのフレーズは、多くの経営者や指導者の指南役の言葉として、今も知られています。これは子育ての真髄でもあるので、特に子どもの“躾のポイント”としても応用できるということを、私は受講者に伝えてきました。

 他人に対する思いやりと共感は
 私たちが差し出せる 最大の贈りものだ
 タルサン・トルク

*次回のコラムは2023年8月20日前後の予定です。

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