2020年5月20日水曜日

脳にいいことだけをやりなさい(その4)

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脳にいいことだけをやりなさい
マーシー・シャイモフ
Column 2020 No.84

 今回は、私が掲げた脳に関するシリーズの最後になりました。

1 脳は楽しいことが好き
2 脳は刺激的な学習をすることが好き 
3 脳の衰えを老化のせいにしない~脳は齢を重ねても育ち続ける~
4 愛は脳を元気にする
5 脳の傷は癒せる
6 脳はだまされやすい
7 脳は支配できる~脳は書き換えることができる~


7 脳は支配できる~脳は書き換えることができる~

 以上7項目のうち6項目(コラムNo81, No82, No83)を通して、脳学者の諸説から、脳の真実について、私なりの考察を述べてきました。脳の働きは、決して遺伝子だけで決まるものではなく、脳には可塑性(池谷雄二氏)があり、生きる上でのさまざまな体験や、学びを脳回路に蓄えることで、脳のネットワークはカスタマイズされていく。よって、齢を重ねると、脳の働きが悪くなる…というのも実は思い込みであり、学習や訓練によって、生涯にわたって育ち変化していくものである…つまり、脳は育て書き替えることができる…というわけです。

あなたの能力に限界を与えるものは、他ならぬあなた自身の思い込みなのです
ナポレオン・ヒル

 “楽観回路・幸せ回路を働かせることは、人生がうまく起動していくポイントです…”という茂木健一郎氏のフレーズは、とても心を元気にしてくれました。自分のネガティブな思い込みに気づいて、まず受容しそして手放し、心が喜ぶことや、わくわくすることをいっぱいして、脳を元気にしてあげたいと思いました。

 また、いかに脳が損傷を受けても、外部状況に対する快・不快の情動判断は可能で、意識不明で大重体であったNくんの脳は、家族の愛をキャッチし、奇跡的な回復をもたらしました。松本 元氏の“人の情こそは、脳というエンジンを最も働かせるガソリンである” “愛は脳を活性化する”…等のフレーズはとても心に届きました(コラムNo82)。脳の強靭な働きとその神秘性に畏敬の念を持ったことでした。

 “プラシーボ効果”も印象的でした。医師が病気の人に“この薬はあなたの病気にとてもよく効く薬ですよ”と言って砂糖の塊を与えたら、事実、薬効があった…最近の研究でもその事実は、明らかになってきた…と茂木氏は述べていました(コラムNo83)。言葉には人の脳に深い影響を与える不思議な力がある…ということが理解できました。自分に対しても相手に対しても、ネガティブな言葉を掛ければ、脳はそれなりに反応し、ポジティブな言葉を掛ければそれなりに反応する…としたら、相手に対しても自分に対しても、脳が活性化するような、心が高揚するような言葉掛けをしてあげることの大切さが、しみじみと理解できました。

出来ると思えばできる。出来ないと思えばできない。
これはゆるぎない絶対的な法則である
パブロ・ピカソ

  “私にはできない。できるはずがない”“自分の性格だから変わるわけがない”…等々。多くの人々は、なぜか古い固定観念に頑固にこだわっています。自分の人生は自分が主役ですから、ピカソが言っているように、そのように自分を定義し続ければ、出来る人生・出来ない人生が…定義通りに働いていくことでしょう。

泥水でいっぱいのコップがあります。しかしそこに清水を注ぎ続ければ、
そのコップの水はやがて必ずきれいな清水に変わります

 コラムで何度か取り上げてきましたが、いま私は、その原理を大切に生きようとしています。私自身の中にも、生きる上でのネガティブな、ある観念が、今でも潜在意識の中に頑固に居座っているのを感じるからです。それはもう古くて、私の人生を楽しくわくわくとしたものには、決してしてくれない定義です。そんな時、この泥水のコップをイメージします。そして私の古い定義に“もういいよね!”と、愛を持って手放し、望む新しい定義を一滴一滴、そのコップに注ぎ続けています。同時に“新しい定義に沿った行動”も果敢にしています。

 すぐには清水に変わることはありませんが、決して諦めないで、新しい定義を淡々と注ぎ続けています。もう泥水には一切こだわらず、無心に新しい定義をただ“上書き”していくのです。思考も訓練のたまものなのです。今も汚水と清水のせめぎあいは幾らかあるにしても、潜在意識を占領していたネガティブな思考が徐々に降伏し、やがて新しい定義に席を譲ってくれる予感です。

脳は自己暗示にかかりやすい為、悲観的なことでも、
面白くとらえ直したり、楽しいことを考えたりするだけで前向きになり、
潜在能力が邪魔をしている蓋を、外すことができます。
茂木 健一郎

この、瞬間・瞬間を、若いとか年寄りとか、力があるとかないとか、
才能があるとかないとか、金があるとかないとか…あらゆる条件を超えて、
持てる限りいっぱいの自分の容量に挑み生きることだ
岡本 太郎

 自分を諦めない限り、脳は育ち続けます。私たちは脳の僕(しもべ)ではなく、脳の主人公なのです。脳は私たちの意志力によって、いつでも学習し直せるし、書き換えることができるのです。しかし脳科学の世界もまだまだ未知の分野です。さらなる可能性が証明される時代が、やって来るかもしれません。

脳については現在さまざまな説があり、科学として収斂(しゅうれん)し、
一定の結論に至るまでには、まだ相当の時間が必要でしょう
松澤 大樹

*次回のコラムは6月20日前後の予定です。

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