Column 2020 No.81
1月の中旬、脳科学者の茂木健一郎氏が来広、講演会がありました。脳に少なからず興味を持つ私は、早くから申し込みをして参加しました。1時間半、ユニークな観点から、ユーモラスな語り口で、脳の働きについてなかなか興味深く話されました。
“脳は目新しいことが好き。生きることを楽しんでいる人の脳は活性化している…それには中枢神経系に存在する神経伝達物質であるドーパミンが影響している。ドーパミンは生きる意欲を促し、達成感・爽快感・歓び・感動をもたらす。ドーパミンを出すためには、意図的に、やりたいこと新しいことに、挑戦することがカギ…”辺りの話題が大変印象的でした。
私は早速、ずっと以前から求めていた、茂木氏の本…他、他の学者の脳に関する数冊の本を取り出し、すべてもう一度読み返しました。冒頭のフレーズは、茂木健一郎訳、マーシー・シャイモフ著「脳にいいことだけをやりなさい」の書の題名からの引用です。次のフレーズは、その本の訳者の茂木氏の言葉です。
親業や、親業が主宰する人間関係講座では、“欲求充足”すること、つまりやりたいことをやる、心が喜ぶことをする、ということを大切に考え、理論のベースに置いていますが、茂木氏いわく、実は“わくわくと生きていくことは、脳がそれを欲しているのだ”というフレーズに接して、親業も、脳科学的なアプローチをとっていることに改めて気付き、なるほど!と、膝を打つ感じがありました。
手持ちの、脳に関する本を読み返して、大変興味深いので、私なりのフレーズで8項目に連ねて、脳のことを纏めてみることにしました。次回のコラムはその続編になると思います。
1 脳は楽しいことが好き
2 脳は刺激的な学習をすることが好き
(※No3以降は次回のコラムに続きます)
3 脳の衰えを老化のせいにしない~脳は齢を重ねても育ち続ける~
4 愛は脳を元気にする
5 脳の傷は癒せる
6 脳はだまされやすい
7 脳は支配できる~脳は書き換えることができる~
1 脳は楽しいことが好き
楽しく幸せな回路を働かせると“脳の活性化”に大きく影響を与えていくようです。楽しむと、脳からエンドルフィン・セロトニン・オキシトシン・ドーパミン…と言ったような前向きな気持ちになる化学物質が分泌され、それを細胞が受け取ると、私たちは幸せ感に満たされて、脳がさらに活性化に向かうようです。だから、歌を歌ったり、ダンスをしたり…何でもいい、自分の心がわくわくすることをやることの意味・大切さがあるのですね。
私の友人に、とても楽しみ上手な人がいます。80歳を過ぎた女性ですが、100数名の会員を持つ、某“エッセイ同人誌”の編集長です。「生きていれば、楽しいことがいっぱいあるよね!」…が彼女の口をついてよく出てくる言葉です。彼女の周りの友人は、色々なジャンルの人たちで、年齢も30代40代50代…と様々です。「ちょっと疲れたわ!」と言いながらも、おつき合いを心から楽しんでいます。頭脳は明晰で、お洒落で、年齢を全く感じさせません。いわゆる脳科学者の言う、ドーパミン…等の化学物質が起動している人物でしょう。
2 脳は刺激的な学習をすることが好き
現代のメデイアの中で流布している快楽主義は、チョコレートを口に入れれば甘い…程度の快楽主義の単純な図式にとどまっている。雑誌などに掲載されている記事も、贅沢なレストランや、リラックスできるスパと言ったようなあまりにもストレートな快楽の提示だけである。そのような現代においては、脳の中に潜んでいる「学び」に関わる快楽原理の奥深さが見えにくくなっている。私たちは、“快楽という井戸”を深く掘ってみることを、忘れてしまっている
茂木健一郎
私自身、入学試験や学校の期末試験での勉強には、あまり喜びを感じたことはありませんが、自分の興味あるサークルでの学びや、好きなジャンルの本に出逢うと、時間の経つのも忘れて夢中で読み進む、あの充実感・ときめきは、何にも勝る喜びでした。茂木氏の言う、いわゆる真の快楽原理を生きていた気がします。
「…単に嬉しいことが続けばそれでいいというわけではない。ある程度のメリハリがなければドーパミンも放出されないし、強化学習も生じない」と、茂木氏は述べています。確かに、一人ひとりの中に存在する“成長欲求”が満たされる歓びは、必ずしも安易なもので満たされるとは限らないと思います。読書はともかく、人生万般、すべての体験からの学びには「苦」もあり、「痛み」もあります。しかし、それら苦労・痛みを体験し乗り越えたときに、初めて得られる魂からの喜びこそが、茂木氏のいう、脳が喜ぶ強化学習に繋がるのではないでしょうか。
医師の山田規畝子氏は33歳の時、脳出血により脳梗塞を併発、高次脳機能障害を発症しました。彼女は著書「壊れた脳 生存する知」(講談社)の中で、“どんな脳でも学習する”…と述べており、以下はその一節です。
“忘れっぽくなっちゃったわ”と、老化のせいにしないで、思い出そうともがくべきだ。もがく習慣をつけておくと思い出すことがうまくなるような気がする。記憶を引っ張り出す糸口が、聴覚だったり、視覚だったり…と、人それぞれだろうが、思い出そうとするために、脳の中の記憶の部屋を、かき回して探すのだから、脳が一生懸命働くことは想像に難くないだろう
脳には、まだまだ興味深い真実が横たわっています。次回のコラムを楽しみに!
“脳は目新しいことが好き。生きることを楽しんでいる人の脳は活性化している…それには中枢神経系に存在する神経伝達物質であるドーパミンが影響している。ドーパミンは生きる意欲を促し、達成感・爽快感・歓び・感動をもたらす。ドーパミンを出すためには、意図的に、やりたいこと新しいことに、挑戦することがカギ…”辺りの話題が大変印象的でした。
私は早速、ずっと以前から求めていた、茂木氏の本…他、他の学者の脳に関する数冊の本を取り出し、すべてもう一度読み返しました。冒頭のフレーズは、茂木健一郎訳、マーシー・シャイモフ著「脳にいいことだけをやりなさい」の書の題名からの引用です。次のフレーズは、その本の訳者の茂木氏の言葉です。
どんな手を使ってもいいから“楽観回路”“私は幸せ回路”を働かせることが
ポイントです。何せこの回路が、元気できちんと機能していれば、
人生すべてがうまくいく…と言っても過言ではありません
親業や、親業が主宰する人間関係講座では、“欲求充足”すること、つまりやりたいことをやる、心が喜ぶことをする、ということを大切に考え、理論のベースに置いていますが、茂木氏いわく、実は“わくわくと生きていくことは、脳がそれを欲しているのだ”というフレーズに接して、親業も、脳科学的なアプローチをとっていることに改めて気付き、なるほど!と、膝を打つ感じがありました。
手持ちの、脳に関する本を読み返して、大変興味深いので、私なりのフレーズで8項目に連ねて、脳のことを纏めてみることにしました。次回のコラムはその続編になると思います。
1 脳は楽しいことが好き
2 脳は刺激的な学習をすることが好き
(※No3以降は次回のコラムに続きます)
3 脳の衰えを老化のせいにしない~脳は齢を重ねても育ち続ける~
4 愛は脳を元気にする
5 脳の傷は癒せる
6 脳はだまされやすい
7 脳は支配できる~脳は書き換えることができる~
1 脳は楽しいことが好き
楽しく幸せな回路を働かせると“脳の活性化”に大きく影響を与えていくようです。楽しむと、脳からエンドルフィン・セロトニン・オキシトシン・ドーパミン…と言ったような前向きな気持ちになる化学物質が分泌され、それを細胞が受け取ると、私たちは幸せ感に満たされて、脳がさらに活性化に向かうようです。だから、歌を歌ったり、ダンスをしたり…何でもいい、自分の心がわくわくすることをやることの意味・大切さがあるのですね。
私の友人に、とても楽しみ上手な人がいます。80歳を過ぎた女性ですが、100数名の会員を持つ、某“エッセイ同人誌”の編集長です。「生きていれば、楽しいことがいっぱいあるよね!」…が彼女の口をついてよく出てくる言葉です。彼女の周りの友人は、色々なジャンルの人たちで、年齢も30代40代50代…と様々です。「ちょっと疲れたわ!」と言いながらも、おつき合いを心から楽しんでいます。頭脳は明晰で、お洒落で、年齢を全く感じさせません。いわゆる脳科学者の言う、ドーパミン…等の化学物質が起動している人物でしょう。
成功が、幸せのカギではない。幸せが、成功のカギなのだ。
今やっていることが好きになれば、成功はおのずからもたらされる
アルベルト・シュバイツアー
2 脳は刺激的な学習をすることが好き
現代のメデイアの中で流布している快楽主義は、チョコレートを口に入れれば甘い…程度の快楽主義の単純な図式にとどまっている。雑誌などに掲載されている記事も、贅沢なレストランや、リラックスできるスパと言ったようなあまりにもストレートな快楽の提示だけである。そのような現代においては、脳の中に潜んでいる「学び」に関わる快楽原理の奥深さが見えにくくなっている。私たちは、“快楽という井戸”を深く掘ってみることを、忘れてしまっている
茂木健一郎
私自身、入学試験や学校の期末試験での勉強には、あまり喜びを感じたことはありませんが、自分の興味あるサークルでの学びや、好きなジャンルの本に出逢うと、時間の経つのも忘れて夢中で読み進む、あの充実感・ときめきは、何にも勝る喜びでした。茂木氏の言う、いわゆる真の快楽原理を生きていた気がします。
「…単に嬉しいことが続けばそれでいいというわけではない。ある程度のメリハリがなければドーパミンも放出されないし、強化学習も生じない」と、茂木氏は述べています。確かに、一人ひとりの中に存在する“成長欲求”が満たされる歓びは、必ずしも安易なもので満たされるとは限らないと思います。読書はともかく、人生万般、すべての体験からの学びには「苦」もあり、「痛み」もあります。しかし、それら苦労・痛みを体験し乗り越えたときに、初めて得られる魂からの喜びこそが、茂木氏のいう、脳が喜ぶ強化学習に繋がるのではないでしょうか。
医師の山田規畝子氏は33歳の時、脳出血により脳梗塞を併発、高次脳機能障害を発症しました。彼女は著書「壊れた脳 生存する知」(講談社)の中で、“どんな脳でも学習する”…と述べており、以下はその一節です。
“忘れっぽくなっちゃったわ”と、老化のせいにしないで、思い出そうともがくべきだ。もがく習慣をつけておくと思い出すことがうまくなるような気がする。記憶を引っ張り出す糸口が、聴覚だったり、視覚だったり…と、人それぞれだろうが、思い出そうとするために、脳の中の記憶の部屋を、かき回して探すのだから、脳が一生懸命働くことは想像に難くないだろう
脳には、まだまだ興味深い真実が横たわっています。次回のコラムを楽しみに!
なるほど!
返信削除自分が喜ぶことをすると脳も活性化し、気持ちも豊かになる。
実感しました。先日水仙の花と匂いが大好きな私は、TV・ラジオ・ネットなどから情報を得て、笠岡市の六島(むしま)に行って来ました。
笠岡の港から1時間ぐらいの旅客船旅でした。70人?位の住人で、とても温かい人たちでした。個人で行ったのですが、港に降りた時は迎えてくださり、心地よく散策出来ました。(小学校にも行くと2人の児童や先生とも話をし、水仙のお折り紙をお土産にもらいました)
水仙畑に行き、匂いを吸い込んでとても心地よかったです。灯台から見る景色が、心を癒してくれました。
とてものんびりしていて、浜辺で弁当を食べたり展望台など巡りました。
帰ってからも、この情景とのんびりな感覚がふっと思い出されて、いい気持ちになれます。脳も心も喜んでいます。実感‼‼
先日先生の骨折の事、その後を聞こうと思っていたのに、忘れていました。
でも、普段通りの先生の様子をみて、多分もう大丈夫なのだろうと想像しました。
Kiyokoさま
削除Kiyokoさんは 水仙の香りが 大好きでいらしたのですね。その香りを楽しみたいと情報を得られ 「笠岡」へと行動を起こされた! やりたいことをやる!kiyokoさんのその行動力に感服しました。
水仙畑で匂いを 思い切り吸い込んでいるkiyokoさんの姿が目に浮かんで 私の気持ちまで すがすがしく満たされた気持ちになりました。そう!私の脳までが喜んでいますよ!
心が喜ぶことをする。自分を大切にして ただ「幸せになること」…親業が大切にしているスタンスが 実は 脳の活性化に繋がっているのだ…と理解できたことは 心躍る気持ちですね!
手首の怪我 はもうすっかり大丈夫の状態になりました。ご心配有難うございました!
楽観回路という言葉をはじめて聞きました。子供の頃は自然あふれる田舎で、好きなことをして、地域や家族にいっぱい甘えて楽しい幼児期を過ごさせてもらいました。大人になり、自分の好きなこと、喜ぶことを横において、家族のために過ごしていた自分が少し残念ですね。でも講座やこうして気づかせていただきました。
返信削除自分が喜ぶことをたくさんやって来ました。自分の幸せを実感できると不思議ですね、いままであんなに気になっていた廻りが気にならなくなり、自分のやりたいことに没頭できるようになりました。少しずつ楽観回路になってきたのかなあ
コーラスで、イタリア語 ドイツ語 スペイン語といろんな歌を歌うと脳がびっくりしています。うまくなりたいなあと日々練習しています。
自分の思考が楽観回路になると幸せな自分になれる気がしました。
ももこさま
削除ほんと、"楽観回路" 茂木さんらしい表現ですね。ももこさんは子供時代は 自然がいっぱい溢れる環境の中で 無邪気に 楽しんでいらしたようですね! それはももこさんの脳が 活性化するような環境であり ももこさんの "楽観回路" への道はその頃からすでに始まっていたのではないでしょうか。
ももこさんは仰っています「…自分の幸せを実感できると 今まで気になっていた廻りが気にならなくなり 自分がやりたいことに 没頭できるようになった…」と! ももこさんの脳の中の "楽観回路" への道は益々強固になっていらしているのを感じます。
そうですか! コーラスでは イタリア語・ドイツ語・スペイン語…凄いですねえ! 脳は
びっくりするような刺激が 大好きだから ももこさんの脳は 手を叩いて 大喜びしているのではないでしょうか。
脳の活性化と共に 幸せへの道へと まっすぐに進んでいらっしゃるももこさんを感じて 私の脳も とても喜んでいます! 有難うございました!
脳って可愛いんですね。
返信削除心がワクワクすると一緒にワクワクしてくれる!
そしてやっぱり賢い!
表面上の快楽のほかに「苦」の後にやってくる快楽を待ってくれているなんて。
私は昨年から定期的に試験を受けているのですが、何十年か振りにする勉強と試験。
今まで縁なく過ごしていた分野や少し知ってる分野の勉強は面白かったり、難しすぎてうんざりしたりします。そして試験勉強では戸惑ったり「無理!」と思ったりしました。が、もがいていると何となく自分の中からやり方のアイディアが湧き出てきて・・・。無事合格を重ねています。
試験中、問題を解いてる時、覚えていたり、解き方がわかったりするととてもうれしくワクワクしながら解答していました。もちろん思い出せなかったり、解き方がわからなくて苦悩する時間も・・・。偶然にもメリハリを体験するようになっていてびっくりです。
「どんな手を使ってもいいから“楽観回路”“私は幸せ回路”を働かせることがポイントです。何せこの回路が、元気できちんと機能していれば、人生すべてがうまくいく…と言っても過言ではありません」
このフレーズが気に入りました!自分の中のどんな手を使ってもいいから ですね!
NO.3からの脳についての続編を楽しみにしています!有り難うございました。
このコメントは投稿者によって削除されました。
返信削除MOONさま
削除いつも有難うございます!
そう! 心がワクワクすると、脳もワクワクと喜んでくれるんですねえ!このところMOONさんは学校に通われて試験勉強があるんですね。試験はいつの時代も大変ですよね。でもMOONさんは その中で もがきながらも脳を使っていると、脳は喜んでアイデアを 出してくれると! 脳は愛おしいですねえ!
そうですか! 試験は合格🈴を重ねていらっしゃるのですね! おめでとうございます! 苦労の次に来る真の喜びの体験 …。 脳がワクワクとドーパミンを放出してくれているんですねえ。
「どんな手を使ってもいいから 楽観回路・幸せ回路を働かせる…」茂木氏のこのフレーズ私も力を頂いています。楽しむことで どんどん幸せになれるなんて 宇宙は優しいですね!
お互いに 益々人生を楽しみましょうね。