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Column 2026 No.151
子どもがこの世に誕生した日、私は歓びの感情のあまり、ベッドの上で飛び上がりたいような衝動でいっぱいでした。ところがしばらく落ち着いて心に浮かんできたことは、「この子を何とか立派に育てなくては!」と…、何が立派な姿なのか解からないままに、子どもを育てる責任と緊張感でこういった思いが湧いてきたことを思い出します。私自身大学での学業で、児童心理学をはじめ多方面の心理学を修めたこともあってか、今ここにいる子どもの心の在りかを見るよりも、心理学的成長に合っているか、育っているか…といった方向に心が向いていたような気がします。無意識に完璧な親になろうとしていたのです。
上の子が生まれた時、その頃は仕事をしていなかったので、子どもと十分に関わるひとときが持てたことは有難かったと思います。子どもと無邪気に遊んだ経験は懐かしく思い出されますが、やはり私の頭の中にはいつも“心理学的バイブル”があるために、子どもを神経質に叱ったり、価値観を押し付けたりして、子どもの自然な発達を多くの場面で見逃し、妨げてきたような気が致します。子どもはしんどかったのではないかと、深い後悔で胸が一杯になることがあります。今回は私の子育ての体験からくる反省と気づきがテーマです。
古い資料ですが、ある婦人雑誌が小学生対象に取ったアンケート「私のお母さんは日本一」“日本一と思うあなたのお母さんはどんなお母さんですか” 記憶が定かではありませんが、その辺りの質問だったと思います。
そのアンケートの答えを分析して、次の五つに分けられていました。
1 よく働くお母さん
2 「大好きよ!」と言って抱きしめてくれるお母さん
3 手作りのお菓子や洋服を作ってくれるお母さん
4 一緒によく遊んでくれるお母さん
5 すっとんきょうな(まぬけな)お母さん
これを見ても、子どもが望んでいる親の姿は、決して立派な親ではなく、血の通った人間的な親であることがよく理解できます。上から下に教育をしていく親ではなく、無邪気で、ありのままの親像が伺われます。すっとんきょうのお母さんを持ったある子どもの事例が一緒に掲載されていましたので、それをご紹介してみましょう。小学2年生の子の作文です。
「…私が逆立ちの練習をしていたら、お母ちゃんが“母ちゃんもやってみる!”と言って逆立ちしたら、母ちゃんのスカートがずり落ちておなかが出てしまいました…」
お母さんのこんなすっとんきょうな行動をみた子どもは、「母ちゃんていいな!こんな母ちゃん大好きだ!」と、お母さんを眺めながら、気もちがほっと緩んだのではないでしょうか。
さて、子どもが大きくなるに従って、私は、自分自身の子育てに疑問を持ち始め、「親業」という講習を受講して、メソッドを学ぶ機会を持ちました。それはいわゆる親子のコミュニケーションのとり方が中心でした。そこで私は自分がとってきたコミュニケーションが、如何に親(自分)中心なものであったかを、痛いほどに知らされました。ショックも大きかったこのメソッドに心打たれた私は、多くの親御さんに伝えていかなくては、といった使命感から親業の指導者にもなりました。
子育てに大切なことは決して完璧な親である必要はない。先ほどのすっとんきょうなお母さんのようにありのままの親の姿から、子どもは沢山のことを学んでいきます。反面、完璧を演じる親の前では、子どもはプレッシャーを感じて緊張し、自分も完璧であらねばならないといった姿勢を学んでしまって、自分の人生を辛いものにしていく可能性も出てきます。
親が子どもにできる最高のひとつは 親が幸せでいることです
フランク・クラーク
“お母さんが幸せでいる”こと、つまり周りの環境はどうであれ、その中で楽しみを見つけ、自分自身を幸せにできる人。これは、私が「親業講座」の指導者として、お母さん方に一生懸命に伝えてきたことでもあります。お母さんが幸せでなかったら、結果的には、子どもに“教える・叱る・しつこくなる”…のメッセージが増えてしまいます。
ところがお母さんが幸せになると、子どもと共に遊び、笑い、子どもの失敗を許し「お母さんをはじめ、誰でも失敗しながら学ぶのよ」というように、自分の失敗の姿もありのままに見せながら一緒に学び育っていけるのです。そして親が語ることを少なくして、子どもが話すことをゆったりと聴くことができます。そして子どもは親の姿を見て、幸せということは、こういう生き方なんだな…と、日常的に見る親の姿をモデルとして、幸せな大人になっていける基盤が自然にできるのです。
子どもを育てるということは、親もまた育てられていくということです
河合 隼雄
子どもを育てるということは親が自分自身を育てていくことに直結しています。子どもが語る言葉の中に、子どもが悩んでいるときの子どもの表情の中に、親に向けてくる怒りの中に、親自身の生き方や考え方の修正点に気づいていくチャンスが与えられます。子どもはある面、親の教師でもあります。
我が子をどこで叱り、どこで認め、どこで指導していくのか…は心理学書にも育児書にも答えはありません。 “こんな時には叱るべきです” “こんな時には褒めましょう”…等々、子どもが今居る精神的な位置や置かれている状況を無視しては、すべて見当違いになります。その上、親の心境・体調によっても関わり方は違ってきます。瞬間瞬間の関わり方は、実は親自身の感性に頼るしかないのです。
親も自分自身の人生を生きて楽しみながら、そして子どもの心は今どこにあるのか、どんな状況にいるのかを、大切にしながら子育てに関わっていくことで、バランスある感性は豊かに育っていきます。親は完璧である筈はないし、完璧である必要もありません。完璧でないからこそ、子どもは親の前で安心でき、失敗しても諦めないで、もう一度やり直そうと出来るのです。ありのままの親の姿を見て、柔軟性のある生き方を身に付けるからです。
親も一人の人間です。お互いに、自分の人生を楽しみ正直に生きながら、自分の未熟性を許しつつ学び、迷いながらでも、立ち止まりながらでも、子どもと共にゆるりと歩んでいけたらいいですね。
*次回のコラムは2026年4月20日前後の予定です。