2018年6月20日水曜日

自分にも非がある…と気付いたら、堂々と自分の方から謝りましょう

Column 2018 No.61

 街中で見知らぬ女性に“ドスン!”とぶっつかりました。私が歩きながらショーウインドウに見とれていた為です。私の行動がまずかったにも拘らず、その女性の方が咄嗟に「あら!ごめんなさい!大丈夫ですか!」と謝って下さったのです。勿論私も非をお詫びしましたが、その時の温かかった気持ちは今も覚えています。

 私たちは、結構お詫びは下手のように思います。特に相手側にも非があると思うときにはなかなか謝れないものですが、私が街中で出会った方は、明らかに私の方に充分な非があるにも拘らず果敢に謝って下さったのです。その時に私が感じたことは、“どちらがいい悪いではない。起き湧いたアクシデントに自分が係わっていたなら、堂々と自分の方から謝ろう!”…と、その時の温かさがそんな気持ちに私を押してくれたのでした。

 しかし、誤解を受けて、“謝るべきはあなた…”という立場に自分が立たされた時の葛藤はなかなか苦しいものです。そこに至ったいきさつを説明すれば、誰かの名前を出さなくてはならなくなったり…言い訳けを聞いてもらいたくなったり、その葛藤は尋常ではありません。そのような事態に陥った時、思い切り腹をくくって、弁解は一切やめ、謝るべきことは誤り、次に向けての建設的な行動を起こせた時は、ひとときは苦しくとも、やがて自分の中にさわやかさが戻ってきます。“今の自分ってなかなかいいな!”と思えるひとときです。

 誤解を解くことはとても難しいことです。思い込んでいる他者の思いを変えることはなかなか出来るものではないと私は観念しています。その誤解を解きたいという気もちが、誰かを守る為なら別ですが、自分を守るための言い訳ならもうやめよう…と心に決めています。誤解を解くことに奔走しない…結構ある種の覚悟が要ります。相田氏の次のフレーズには何か心ひかれました。

柔道の基本は受け身 受け身とは転ぶ練習
負ける練習 人の前で恥をさらす練習
相田みつを

 お話は変わりますが、女性Yさんが、ある体験を話してくださいました。「…私が小学生低学年の頃、学校の帰り、広場で数人の友達と遊んでいました。そこに母がきて“すぐ帰りなさい!”と怖い顔で言うのです。私はもう少し遊びたかったので、ぐずっていたら、いきなり私の顔をぶったのです。お友達の前で叩かれて、私は本当に恥ずかしかった…。あのひとこまは、今思い出してもつらいです。私は今も母を大嫌いだし、あのことも許していません…」

 もしかしたら、その時お母さんの身の上に何か起っていたのかもしれません。困惑するアクシデントとか、何かで深く傷ついてしまっていたとか…。親も人間ですから気持ちのバランスが崩れることはあり得るのです。そんな時、一番甘えられる子どもに、このように感情をぶっつけてしまいやすいのです。…でも決して忘れてはいけない大切なことがあります。

 いきなり叩かれて家に連れ戻されたYさんは、おそらく意気消沈して、ひとりで泣いていたかもしれません。母親を睨み付けていたかもしれません。子どものそのサインを決して見逃してはいけないのです。見逃してしまうと、Yさんのように、心に受けた傷を大人になっても持ち続けてしまうのです。その上彼女の子育てにまで影響が及んでしまうでしょう。大切なことは、親の感情が収まった時でいい、必ず子どもに許しを乞うことです。「…Y子ごめん!お母さんひどいことをしたね…。実は~のことがあってね、お母さん混乱してたんだよ…。でもY子に当たるなんて最低だよね…。本当に悪かった。許してほしい…」のように。

 心からの謝罪をしたら、子どもは、すっと許してくれます。大好きな親ですから謝罪さえあれば許そうと子どもは思っているのです。そのためには親は、自分の過ちを直視し決してごまかさない。誤魔化した結果は、やがて親の方が、それに振り回される結果にもなります。“あの時どうしてすぐに謝らなかったんだろう”…と。いつまでも後悔が私たちの心を苦しめます。その上、親と子の関係も壊れる方向に向かってしまいます。相手が誰であれ、こちらに非があるときには、決して言い訳をせず、率直に謝罪することはとても大切に思います。過去の人であれば、心の中で一度真剣にお詫びをしたら、すべて学びの体験だから、自分を心から許してあげましょう。次は私の受講生の方の事例です。

野球道具の置き場所を決めている。ある日私が帰宅したら、玄関の上り口にそれらが置いてあった。長男M(中1)が図書館から帰ってきた。

 母 「M君!どうしてここに置きっぱなしにしてるの!?
    いつも言ってるでしょう!ちゃんとやってよ!」
 長男「言っとくけどねえ、俺じゃないよ!どうして俺って決めつけるんだよ!」
 母 「だってあなたしか使う人いないでしょ!」
 長男「うるせえなあ!おれじゃないって言ってるだろ!」

…と言って、怒って自分の部屋に駆け込んだ。実は小6の次男が、兄がいない間にそれを使って玄関に放り、そのまま友達と遊びに出掛けたらしい。私は長男に謝りたい…と思い、長男の部屋に行ったが「うるさい!ほっといて!」とけんもほろろ、取り付くしまもない状態。でも私は部屋の外から心を込めて詫びた。

 母 「本当にごめんなさい!お母さん確かめもしないであなたのせいにして!
    気分悪かったよね…。本当に申し訳なかったわ…。許してほしい…」

<気づき> 講座でフォローの大切さを習ったところだったので、本気で詫びた。その時は「あっちへ行って!」と怒りの反応でしたが、「ごはんよ!」と言うと、すっと出てきて、気持ちを取り直してくれているのが解りました。これからも子どもを傷つけてしまった時は、素直に認め、謝っていこうと思いました

*次回のコラムは7月20日前後の予定です。

 2018年の講座予定を公開中です☆

2 件のコメント:

  1. 今回のコラムを読んでずいぶん日にちが過ぎました・・・。
    日頃、無関係な人、友人、子どもであれば謝れますが血縁関係の中に謝れない、謝りたくない人が私にはいます。

    他者を変えることはできない、12の型ではなくわたしメッセージで と知ってはいてもすべてが制御不能に陥る瞬間があります。

    「結構ある種の覚悟が要ります」
    今、覚悟を目指して自分と向き合ってます。しんどいです。今まで経験して来なかった箇所を経験しないと覚悟できないの?とも思ったりしています。
    まだまだ今の位置に居たいのか?   日々、葛藤してます。

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    1. MOONさま

      返信が大変遅くなりました。

      絶対謝れない…そんな時ってありますよね。" そちらの方こそ謝るべきでしょう!"…と。MOONさん 大切なことは、自分の心に正直であること、決して無理をしないことではないでしょうか。謝れない自分、相手をどうしても許せない自分を愛してあげていいのではないでしょうか。気持ちに幅があり愛で周りを照らしていらっしゃるMOONさんです。余程のことだとおもいます。

      私自身も葛藤に翻弄される事があります。そんなときの基準になるのは、やはり自分の中心からくる答えです。MOONさんの今の答えは、いまの自分の位置にいることではないでしょうか。正しい・正しくないはないのです。お互いに自分を信じて生きていきましょう。

      MOONさん、いつもコメント感謝いっぱいです。

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