2025年5月20日火曜日

マインドフルネスに生きる

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Column 2024 No.141

 「マインドフルネス」とは、もともとはインドに伝わる仏教的な瞑想に由来しています。40年くらい前に、マサチューセッツ大学医学部のジョン・カバット・ジン博士が、宗教色を排除し「マインドフルネス瞑想」として体系化し、その後、欧米の多数の研究機関で医学的、科学的に幅広く効果が実証されました。そしてこの“瞑想メソッド”は、各業界にも大いに取り入れられて一躍世界中に広まり、グーグル、アップル…等世界をリードする多くの企業が導入しました(以上、Wikipedia参照)

「マインドフルネス」とは一言で言えば“今ここ”にいるための瞑想方法です。“いまここ”の現実にリアルタイムにかつ客観的に気づいていることです。つまり思考というバーチャルな世界を離れて“いまここ”に集中する生き方です
藤井 英雄(精神科医)

 自分自身に対峙するひとときを持つことはとても重要だと私は感じています。自分自身をまず理解することが全ての出発点だからです。それでは「マインドフルネス」とはどのような瞑想方法か、またそれをやることによってどんな効果があるのかなどについて、私が学んだ範囲で書いてみたいと思います。マインドフルネス瞑想の普及の為に活動を続けているアンディ・プディコムは、自著「頭を空っぽにするレッスン」(辰巳出版)の中で次のように述べています。

自分の心の中に常に静かで澄みわたった場所が
あるのを想像してみて下さい

 それぞれの人々の中に存在する“常に静かで澄み渡った場所”があることに私たちは気づかず、騒々しい環境や複雑な人間関係といった喧騒の中に常に身をおいています。つまり自分に対峙していないが為に、もめごと、いざこざ、トラブル…等々に巻き込まれてしまい、葛藤との狭間(はざま)で苦悩しながら日々を過ごしているのが私たちです。「マインドフルネス」は、それらの喧騒からそっと離れて、自分自身の中にある静かで澄み切った場所に戻ってみる行為でもあります。

 「マインドフルネス」は、これまでの瞑想と同じく座って目を閉じ、ただ自分の内面に向かう…と言うスタイルもそのひとつですが、普段の生活の中で、掃除をしたり、食事をしているとき、他者と共に居るとき、瞬間瞬間自分の心の位置に気づき続けることを大切にしています。考えで思考が寄り道をしていているときは、寄り道をしている今の自分の思考のプロセスに気づいている…つまり100%今の自分の思考の動きに気づき続けることを重要視しています。

 精神科医の藤井英雄氏は著書「一日10秒マインドフルネス」(大和書房)の中で、わずか10秒、何かをしながらの “ながらマインドフルネス瞑想” を勧めています。その時その時の一瞬の自分の感情を客観視して、“リアルタイムに本当の自分の感情に気づいていく”ことの重要性を提唱しています。

 例えば向かいの人が電話で話す声を意識している仕事中の自分だとします。自分が“ある感情を持ちながら、仕事を離れてその人の声を聞いている今の自分に気づき確認していく”のです。藤井氏は、折々の自分の気持ちに気づき続けるには、その都度自分の中でその状況を実況中継してみるといいと言っています。例えば、“話が長いなと思ってイライラしながら仕事から気持ちが離れている自分だな” のように。つまり、“今ここ”にいつもフォーカスしている状態が「マインドフルネス」の要(かなめ)なのです。

 これは実は「親業」が大切にしている、自分自身に“能動的なきき方”(共感的傾聴法)をしていくことと同じです(コラムNo140)つまり自分の今の感情にのめり込むのではなく、一歩引いた視点に立ち、今の自分の現実をただ俯瞰して客観的に見ている感覚です。

もしあなたが一日自分を見失ったら人生の一部を失います。しかしもしあなたが一日中自分に気づいていればあなたは永遠に生きることができます。何故ならあなたは「今」にフォーカスしているからです
賢者の言葉

 一日中その時その時の自分の位置・感情に気づき続けることが、賢者のいう一日中自分に気づいていることであり、「今」にフォーカスしている状態です。他者に対してイライラしてしまったり怒りを感じた自分を責めている自分に気づく…など、いつも心地よい体験とは限りません。しかし、過去でもない未来でもない「今」を体験している自分の感情をそのまま、評価なくただ俯瞰し客観視するからその感情が手放せるのです。

「マインドフルネス」は基本的に心と身体が長い間背負ってきた荷物から解放されていくことだと覚えておいてください。愉快な体験ではないとしても荷物を解き放つプロセスであり解き放つことで人生が軽くなっていくからです
アンディ・プディコム

 その他「マインドフルネス」の効果として、メンタルが改善され自律神経のバランスが整って様々な身体状況が整ってくる。心を今この瞬間に戻す訓練によって、ストレスの源を断ち切る力が向上して気持ちや情緒を安定させる。自己肯定感や自己受容能力を高める。仕事上においても、集中力・記憶力が向上することで、仕事上のマイナス要素が軽減され、コミュニケーション能力も向上する…等々、多数の研究機関によって医学的・科学的な効果が実証されています。

 私がこの「マインドフルネス」を身近に感じたのは、藤井英雄氏のフレーズの「瞑想の目的は、例えば食事をしているとき、食事に心を置いて味わって食べることが目的です。しかしその時出てくる雑念を消すことではありません。その雑念に気づき、一端棚上げをする(俯瞰して見る)ことで、食事をしている今の自分に再び戻っていけるのです」の考え方です。

 しかし藤井氏はこうも述べています。「振り払っても、棚上げしてみても、何度も戻ってくる不安感、悲しみ、怒りなどの感情があるとしたら、それら感情には対処してみる必要があります」…と。それは潜在意識にあるトラウマなど、自分にとってスルー出来ない意味があるのだと思います。よって、これに向かうことは、さらに深い「自己理解」に繋がっていくチャンスにもなります。

 「マインドフルネス」と、潜在意識に横たわる自分にとって避けては通れないネガティブな感情に向き合い続けることにより、自分自身がより鮮明になっていくのではないでしょうか。そして健全で心地良い「今ここ」を生きることが、さらに可能になることでしょう。

*次回のコラムは2025年6月20日前後の予定です。

4 件のコメント:

  1. マインドフルネスつまり、自分の今を俯瞰してみる事なんですね。
    そう考えると、自分が冷静に見られて、落ち着きを取り戻すことにもなるんですね。
    私は、家に一人でいる時、怖くなることがあります。その時は自分を俯瞰してみていなくて、怖さの中に居る気がします。以前は強がったり、大丈夫!大丈夫!と自分を励ましたりしてました。今度、一人の時に自分を俯瞰してみて自分を受入れてみようと思います。

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  2. Kiyoko さま


    そうです!そうです! 「マインドフルネス」とは自分の今の感情にリアルタイムに気づき続けることであり、そのままの感情を俯瞰して、”今ここ”を生きていくことです。

    怖がっている今の自分の気持ちをそのままに受け入れて、親業的に言えば、12の型は辞めて自分の気持ちをそのままに”能動的に聴いて”あげることです。能動的に聴いている状態がその感情を俯瞰している状態です。そのままを俯瞰するからその感情が去っていくのです。「マインドフルネス」の効果です。

    恐怖心はkiyokoさんが想念で創っている形のない感情です。おそらく生育過程のどこかで取り込んでしまったのでしょう。本当は何も怖いことなど起こりません…これが真実です。だからさらに自分を愛して、信じて、思いやってあげて、精神的エネルギーを増していきましょう。これまで通り人生を楽しんでくださいね。そのうちその想念はどんどん陰をひそめていきます。

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  3. 「マインドフルネス」初めて聞いた言葉のように思います。
    が、「例えば向かいの人が電話で~」の一文を読むといつもではないのですが「あ、いま気持ちが離れている自分だな」という瞬間がありその時は「いけん、目の前に集中しないと・・・」と思って瞬間の気持ちを打ち消していました。

    マインドフルネスのやり方は俯瞰している自分がネガティブな感情も自分の中に存在しているたくさんの感情の一つとして淡々とピックアップ出来そうな感じがします。
    これまでの瞑想よりも「10秒ながら瞑想」が私には向いてそうなので実行してみたいと思います。
    有り難うございました。

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    1. MOON さま


      MOONさんは向かいの人が電話で話しているとき、これまでも、自分は今どんな気持ちで聞いているかは掴んでいらしたのですね。ただ「いけんいけん今は仕事だけに集中せんといけん。」という感じだったのでしょうか。

      そうです。マインドフルネスはいけんいけんと感じているその感情をも、そのまま見つめていくやり方です。親業を納めている方は「能動的にきく」あのやり方です。すべてそのままを感じ取って受け入れていくのです。いけん…と言って仕事に戻ることではなく(勿論戻っても構いませんが)マインドフルネスは100%今の自分の思考に気づき続けることに焦点を当ています。これが真の自己理解に繋がり、精神的物理的に効果が認められるのです。

      だからマインドフルネスは「能動的な聞き方」と同じ効果があります。能動的なきき方を学んでいる私たちはラッキーですよね。。

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