2014年11月11日火曜日

すべきことよりやりたいことを! ~人間関係講座(親業)~

Column 2014 No.16

 ある日レストランで食事をしていたひととき、かなり年配の女子会風のグループがあって、賑やかに会話が弾んでいました。何か興味深い話が飛び交っている様子なので、つい耳を傾けてしまいました。

A婦人
「女の人生って哀しいと思わん? 夫に尽くして、子どもを育てて、子育てがやっと済んだと思うたら、夫の両親の面倒を看んといけんじゃない。夫に尽くして子どもに尽くして、姑の面倒を看て・・・・気付いたらもう58歳よ! あ~あこんなに哀しいことってある? 今になって凄い悔しい気持ち! 10年が100万円で取り戻せるんだったら買い戻したい気持ちよ!・・・・」 

B婦人
「でもねえAさん! 10年後には68歳じゃろう。また同じことを言うんじゃないの?悔しい!10年を100万で買い戻したい・・・・言うて」

A婦人
「そうかもねえ・・・・。ほんと・・・。おんなじことを言うんじゃろうねえ。ほんとじゃわあ! 何とか今を充実して生きていかんといけんねえ・・・」

 こんなやり取りを聴いていて、同じ女性としてとても深い共感がありました。A婦人の哀しみがしみじみと伝わってくるような思いでした。そしてB婦人のメッセージ(助言)がA婦人に深い気付きをもたらした様子に、女子会パワーの威力を感じたひとときでもありました。

 家庭と言う狭い社会の中で、夫や子どもの世話・・・・。掃除・洗濯・買い物・食事作り・親戚や学校関係・近所との付き合い・・・・等々。それらを毎日必死でこなして生きてきたのがこれまでの多くの女性でした。現在は女性も多く社会に進出して、状況はかなり違っては来ましたが、しかし家庭における諸々の負担は、まだまだ女性に懸っているのが現状です。
 家庭を守り子どもを育て上げたあかつきに、ふっと我れに返ったとき、A婦人のように、充実感よりもぽっかりと開いた心の空洞を感じている女性は意外に多いのではないでしょうか。

人がとるべき責任ある行動は、ただひとつ。自分が心から
したいことをすることである。それが人生で最も責任ある
行動であり、その人が負う最高の責任である。
~マイク・マクマナス~

親業は「自分業」とも言っています。マクマナスが言っていることは親業の大切にしている精神でもあります。それは決して家事や育児を放棄することではなく、主体性をもって家事をし、主体性をもって子育てをし、主体性をもって人間関係を組む! 主体性をもって生きると言うことは環境や人間関係に流されるのではなく、自分を大切に、自分の気もちに正直に日々を重ねていくということです。つまり「自分軸」を失わないで家事をし、子育てをしていくことです。

 例えば、日々の流れの中に、自分だけの時間をどこかに盛り込んでみる・・・・。ときには家事の手をちょっと抜いて、自分の心が喜ぶことを思い切ってやってみる・・・・。行きたい所に行ってみる 体が喜ぶものを食べに行く 会いたい人に会ってみる 自然に触れてみる 思い切り無邪気に遊んでみる・・・・等々。それは子育て真っ最中であっても「自分軸」さえあれば不可能ではありません。

 「自分軸」を育てることは急務です。なぜならメディアを通しての情報が氾濫している今の環境の中で、自分軸がなかったら、気付かぬ間にメディアのロボットと化し、本当の自分が掴めないままに一生魂の放浪をすることになりかねません。特に今の子どもたちは心配です・・・・。間断なく与えられる外からの刺激は成長期にある子どもは勿論、私たち大人も知らず知らずにエネルギーを消耗し、自分を見失い、精神状態に不安と混乱を招きかねません。

 また価値観もとても多様化しています。
 例えば「朝食は抜いてはいけない・ぬいた方がいい」「玄米は体に非常に良い・玄米は胃に負担をかける」「水は一日2リットル飲むといい・水は過ぎると水毒になる」「泡洗顔は皮膚に一番負担がない・泡洗顔をやめるだけで綺麗になれる」・・・・等々。
 実は情報の中にも単に奇をてらうだけの発信がけっこう氾濫しているように私には思えてなりません。自分を理解し、自分の欲求を探り、自分の感度を信じて情報の選択をしていかない限り、情報に流されて自分を見失い、本当にやりたいことがいつまでも見えて来ない危険性もあります。

 もちろん私自身もネットで情報を探したり買い物をすることはあります。しかし私は基本的にある信念をもっています。それは「すべて自分に必要な答えは自分が持っている。探し回らないでも、自分に必要な情報は、内からも外からも必ずやってくる・・・・」と・・・・。それはふっとしたひらめきでやってきたり、人々との出会いや、ときにはわが子らのひと言から。あるいはふと見開いた書籍の一文から・・・・等々。

 もっとも、「自分軸」をもって生きている私のまわりの人たちの多くは、過度なメデイア依存はなく、適度な節度をもっています。それでもやはり、時々はネットサーフィンの手をちょっと中断して、脳を少し休めて、自然の中で、あるいはお好みのカフェで・・・・ひとりになって、ゆったりと「自分サーフィン」をしてみることは素敵だと思います! 不思議ですがそんな場面で、本当は何をやりたい自分なのか・・・の答えがふっとやってきたりします。

自分を感じ、自分と語れる人こそが、
心理的に本当に健康な人です。
~トマス・ゴードン(親業創始者)~

それは「自分軸」をさらに力強いものにしていくポイントであり、本当にやりたいものが見え、確実に自己実現へのステージに繋がっていくつまり秘法でもあるわけです。


*次回のコラムは11月30日前後の予定です。

2 件のコメント:

  1. 自分を振り返ると親業「自分業」のおかげで
    自分軸を育てることが出来ているのがわかります。

    今を通過点としこれから先、自分軸を太くしたい。

      「自分サーフィン」いい言葉ですね(^O^)

    ネットも参考程度に・・・しなやかに生きたいです。

    返信削除
    返信
    1. MOONさま

      返信が遅れてごめんなさいね!今回も心に届くコメントを有難うございました!

      ほんとお互いに「自分軸」が徐々に育っているのがわかり、世の中の価値観に振りまわされることは少なくなりましたよね。その上に自分の感じ方やライフスタイルにも徐々にOKが出せるようになり、自己価値感も育ってきましたよね!

      これからもお互いに「自分サーフィン」で自己理解を深めながら、さらに自由に、さらにしなやかに生きて行きましょうね! ワクワクしますね!


      削除

コメントをどうぞ☆