2019年7月20日土曜日

生き残れるものは 変化できる種である

生き残れるものは 変化できる種である
チャールズ・ダーウィン
Column 2019 No.74

 進化論を説いた「種の起源」で知られる、イギリスのダーウィンのフレーズです。「最も強いものが生き残るのではなく、また最も賢いものが生き延びるのでもない。唯一、生き残るものは、変化できるものである」…と。なぜ、絶滅する種と生き残る種があるのか…つまり厳しい環境の変化に、適応できた種だけが、進化を続けながら生き残ってきたのだ…と。このフレーズに出逢った時、私たち人間はどうなんだろう…とふと思いました。

 科学者であり、JT生命誌研究館館長の中村桂子氏の「知の発見」(朝日出版社)の中で、「最初に地球上に生まれた人類は600万年ほど前です。現在の人間はホモ・サピエンスと呼ばれる、ひとつの種の仲間であることがはっきりしています。その後さまざまな人類が生まれたのですが、なぜか滅びてしまい、今残っている種はひとつなのです…」の一文がありました。ダーウインの考えから言えば、人間も、やはり厳しい変化に適応できた種だけが進化を遂げ、今の私たちが存在しているのだと思うと、とても感慨深いものがありました。

世界は変化し続けている。変化しないものは何ひとつないんだ
レオ・バスカリア

 確かに、私たち周辺においても、自然環境の変化、個人の中での生活環境の変化、地域・国家・国際社会の変化…等々、私たちは日々、目まぐるしい変化の中に置かれています。特に天災を始め、身近な家族の病気・死・失業・転居・破産…等々そのストレスは並大抵ではありません。逃れることのできない、それら環境の変化に圧倒されながらも、その痛みから学び、新しい、より進化した対処方法を見つけて、人類は雄々しく柔軟に乗り切ってきました。その聡明さと変化への柔軟さがある限り人類は絶えることなく、確実に進化に向かっていくのだと思います。

 以前、何かの記事で明石家さんまさんが語っていたことが、とても心に残っています。

オレ、およそ30年、芸風ぜんぜん変わってないからね。
すごくないのよ。これはあかんことなの。
人は進化する生きものとして、神様は生んでくれたわけだから…

 凄いことを語る人だなあ…と思いました。息の長い役者さんは、やはりそれだけの哲学を持って生きている存在なんだ…と、しきりに感心したものです。さんまさんが言っているように、確かに自然も、宇宙も、人間を含めて生きものすべては、休むことなく進化・拡大し続けていると言われます。つまり、より高度なものに、より高次ものに…と、とどまることなく拡大・進化を続けているのだ…と。

 この大原則が飲み込めるまで、私は“変化する”ということには、かなり抵抗があったような気がします。変化するということは、“私はこうあるべきだ”と頑なに信じて生きてきた自分の枠組みを、外していく作業でもあるわけで、自分の枠組みを外していくということは、とても不安で、怖いことでもあったのです。

 カウンセリングの場などで感じることですが、表面上は、変化したい!…と思って多くの人は来所して来るですが、自分の枠組みを外していくことには結構、根強いこだわりがあって、決して外そうとしない。無意識ですが、本当は“変わりたくない。変わることは怖い”…と、固く思っているのです。自分自身がそうだったので、その辺りのからくりが、とてもよく解かるのです。しかし

イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、
陳腐化したものを、計画的に体系的に捨てていくことである  
ピーター・ドラッカー

 ルカによる福音書の中で、イエス・キリスト「新しい葡萄酒は新しい革袋に…」と言っています。新しい時代を迎えるには、それまでの古いやり方ではなく、新しい時代に合った発想や方法が、絶対に必要だ…というのです。

 私たちも真に変わろう、進化しよう…と思ったら、一度自分の性癖とか、思考の傾向に本気で気づく必要があります。(コラムNo73) “気づくこと”は乗り越えることであり、捨て去ることでもあります。そこで初めて、変化・進化の“途”に就くことができるのです。その辺りの道理が理解できた時から、私は果敢に自分を見つめ、捨てるべきは捨て、失敗を許しながら新しいことに挑戦し、変容していく自分に興味を持ち、初めて人生が面白く感じられるようになりました。

 その頃から、自分の日常を見つめ直し、ワンパターン化している日常の事柄を、ちょっと変化させてみることにも挑戦し始めました。

  • 朝起きて、すべきことよりも一番やりたいことを優先順位の上位に置く
  • 掃除をしない日、料理を作らない日、携帯を使わない日、TVを観ない日、何もしない日を作る
  • 違うジャンルの音楽・書籍・絵画に触れてみる
  • お風呂に絵を貼ったり、香りを入れる
  • 「大好きな海を見たいな!」と思ったら、思い切って行動する
  • 珈琲を片手に花を眺めたり、空を眺めたり、夕日を眺める
  • 外出先から帰って、やることの順序を変えてみる
  • 仕事の出先からまっすぐに帰らず、30分から1時間、好きなカフェに寄って、珈琲を飲みながら好きな本を読んだりぼんやりする………等々

 日常をちょっと変化させてみるだけで、不思議なほど生き生きした感覚が生まれます。自分の枠組みをどんどん外してみる試みです。こんな小さな変化の第一歩が、人類の進化に無関係ではないと思い始めたのです。そして進化の“種子”は、人類ひとりひとりの想像と創造に満ちた“夢と歓び”の中にこそあるのだと気付いたのです。

ディズニーランドが完成することはない。
世の中の想像力がある限り進化し続けるであろう
ウオルト・ディズニー

*次回のコラムは8月20日前後の予定です。

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2 件のコメント:

  1. 自己肯定ができるようになっても自分を無意識に縛る枠は存在するんですね。
    私は講座を受けてずいぶん個性的に家事時間を作ったり自分時間を楽しめるようになったと思いますが居心地悪かったり、楽しくないことを無意識でこなしていることがまだまだありそうです。
    昨日心地良かったことも今日が心地よいとも限らない・・・。
    毎日、新しい自分に何が心地よいか、何を受容するかを確認し進化し続けたいと思いました。

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    1. MOONさま

      いつもコメント有難うございます!

      おっしゃるように、人間をやっている以上は いつの間にか ネガティヴな感情と闘っている自分を感じることが 多いですよね。でも人間は進化し続けていることを信じましょう。1年前の自分よりも、昨日の自分よりも今の自分が 一番成長していることを信じましょう。

      感情は色々動くけれど、生きて学んでいる証拠だし それをしっかりと見つめ、受け入れ、そして手放していく…。これを続けていくうちに 驚くような 解き放たれた世界に出逢う日が必ずくるのだと信じています。私たちは元々 高く深い魂です。お互いにそれを思い出していきましょう!

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