Go ahead! 前進また前進!
- 曻地三郎 -
100歳を直前に迎えられた頃の曻地三郎氏(養護学校・しいのみ学園園長)のメッセージです。もしご存命であればおそらく110歳近くになられておられるはずですが、ネットがうまく繋がらずご存命か否か不明のままです。
5~6年前に求めて読んだ、彼の「ただいま100歳~今からでも遅くはない~」(致知出版)を再び手にとってみて、今回のコラムはまず曻地三郎氏のことを主に書いてみたいと思いました。
本の表紙の帯に書かれていた曻地氏の“100年生きてつかんだ生き方の秘訣 各世代に送るメッセージ”を抜粋してみましょう。特に40代以降の人に送られているメッセージには目を見張るものがあります。
40代 最も花の咲く時期。勝負せよ。
50代 人生の最高のとき。50代は人生の花道。
60代 飛躍のとき。自分の学問・実績を広げよう。
70代 70くらいで屈してはならない。自分を鍛えよう。
80代 駄目だと思ったら駄目になる。半分の40代の積りで頑張る。
90代 今からでも遅くはない。
100代 Go ahead! 前進また前進!
人生を極めた人の言葉は身にしみ、 実に勇気を与えられますね!
曻地氏は長男・次男さんとも小児麻痺だったことから、全財産を投じて「養護学校・しいのみ学園」を創設されました。養護学校が日本にはまだ1校もない時代でした。100歳にしてなお現役の園長です。
「私は人生で何度も失墜し、“隠遁したい”“もう死んでしまいたい”とまで思いつめたことも何度かありました。しかし人生は戦いである!負けては駄目だ!と気持ちを持ち直しては人生を戦い抜いてきたのです。」
Go ahead! 前進また前進! 曻地氏は絶えずご自分に負荷を掛けながらの懸命な生涯だったのです。
「私は100歳のいまも毎朝ラジオの語学講座で中国語と韓国語を学んでいます。100歳でも中学3年生のような気持ちで勉強をしています。毎日が前進です。」
彼の場合、いわゆる単なるボケ防止の為の学びではなく、韓国と中国に養護学校を創る夢を果たしたいがためなのです。すでに実験的には早くから進められており「・・・・・これが私の百歳の仕事です。勿論自分で陣頭指揮を取ります・・・・」 百歳にしてこの広大なる夢!!
そして驚くことに、100歳になられても2時間もの講演を立ったままでされるとか、階段も手すりを持たずにすたすたと上り下りなさっているとか! いわゆる奇跡の人です! 曻地氏のその根性と生き方には、ただただ敬服・感服以外にありません。
そんな折も折、近くに積んでいた ひろさちや氏(仏教伝道者)の“がんばらない がんばらない”という書籍のタイトルが目に飛び込んできて、あまり頑張れないでいる今の私をほっこりと包んでくれたような気持ちがして・・・・・苦笑したことでした。
そう! 頑張れないことがあってもいいのだ。息を抜いて緊張した体と心をグッとゆるめてあげることも大切なのではないかと・・・・。自分の心と体のリズムを理解しながら、今を正直に大切に生きていこうと・・・・。曻地氏も、休息しご自分をそっとあたためてあげられるひと時はきっとあったであろう。心の温かさが伝わってくるようなお人柄だから・・・・。
Go ahead! 元気が出たら前進だ!人生は君次第だよ!
いささか停滞気味だった私の心情に、曻地氏の人生哲学がこんなエールに聴こえて、魂が再び喜び、躍動したひとときでした。
*次回のコラムは10月20日前後の予定です。