2018年2月20日火曜日

感謝の心が人を育て、感謝の心が自分を磨く

感謝の心が人を育て、感謝の心が自分を磨く
ステイーブ・ジョブズ
Column 2018 No.57

 「ありがとうございます」という感謝の言葉の深遠さは、聖人をはじめ賢者、知識人の多くが語っています。

全てのことに感謝しなさい。これがキリスト・イエスにあって、
神があなた方に求めておられることです。  
テサロニケ第1 5章18節

私たちを取り巻くすべての美、気付かれないような美に
感謝の心を持ちなさい。太陽の光、夕焼け、星々、雲、樹木、
そして人々に感謝の心を持ちなさい。
オショウ(インドの宗教者)

感謝の心が高まれば高まるほどに、
それに正比例して幸福感が高まっていく。
松下幸之助

 日本の「ありがとうございます」という“感謝の言葉”の意味合いは、英語の“サンキュウ”を含め、他のどの国の言葉にもきちんと当てはまるものが無い、と言われています。つまりいずれの外国語にも訳されないニュアンスを含んだ“感謝の言葉”なのです。

 「ありがとう」は漢字で書くと「有り難う」となり、意味は“有り難し”、つまり「今、あなた様に親切にして頂きましたが、あなた様のこのご親切は、決して当たり前に有るものではなく、有り難き(有ることはとても難しい)ことなのです。“有り難きことなのに、有り難きご親切、誠にありがとうございます”」…というのが“ありがとうございます”の本来の意味合いなのです。

 こう考えると、私たちの「ありがとうございます」という“感謝の言葉”には深い精神性とエネルギーが宿っているように思います。コラム52で感謝の奇跡を取り上げましたが、“有り難きこと”に感謝している人々にとって、その人に起き湧くことは、決して奇跡では無く、当然のことなのかもしれません。

 世界一過酷なモータースポーツ競技と言われるダカール・ラリーで、世界最多連続出場33回。世界最多連続完走20回…という二つのギネス記録を持つ、現在もなお現役の菅原義正氏(76歳)のメッセージです。

 「…僕は“感謝”という言葉を大切にしていましてね。スポンサーさんは勿論ですが、車や大地にも感謝しています。一生懸命走ってくれてありがとう!場所を使わせてもらってありがとう!…って。そうすると教えてくれるんです。この先もう少し行くと深い川があるとか、溝があるとか…。勿論自分がしっかり目を開けて周りを見ていないとダメですよ。感謝の気持ちをもって、よく観察していると、大地がそうやって教えてくれるんですよ。逆を言えば、感謝の気持ちがないと完走できない。必ずしっぺ返しが来ます…」(出典:月刊誌“致知”)

 菅原氏のこのメッセージが、まっすぐに私に伝わってくるのは、私自身これまで生きてきて、人・動物…は勿論、宇宙そしてすべての自然、すべての物体…等々にも実は“意識”があるのではないか…という確信に近いものを持っているからです。その存在に、私の心(意識)を向けて、愛の言葉を掛けたり、感謝の言葉をかけると、菅原氏と同様、確かに何かしら答えてくれた…という体験を幾度もしているからです。

 天才的なプロ野球選手であり、現在米大リーグ選手として目覚ましい業績を伸ばし続けているイチロー選手。彼がバッターとして立つとき、背筋をまっすぐに伸ばし、右手でバットを垂直に立てる…。彼のその動作を見ると、彼の次の言葉をいつも思い出します。

 「このバットの木は、自然が何十年もかけて育てています。僕のバットはこの自然の木から手作りで作られています。グローブも手作りの製品です。一度僕がバットを投げたとき、非常に嫌な気持ちになりました。それからは、自然を大切にし、作ってくれた人の気持ちを考えて、僕はバットを投げることも、地面に叩きつけることもしません。プロとして道具を大事に扱うのは、当然のことです…」

 バットを垂直に立て、そのバットを真摯に真っすぐに見つめる…彼のその特殊なポーズは、彼の“バットへの感謝の儀式”なのだ…と、私は受けとめています。感謝の思いや感謝の言葉には言霊(言葉に内在する神秘的な力)が宿っていると言われます。彼の、野球への無限とも思えるエネルギーも、そして業績も、レーサー菅原氏と同様、万物への敬虔な感謝の姿勢が底辺にあるからではないか…と、私にはそう思えるのです。

 最後に私の親業講座の受講者Yさんの事例を、ご本人の了解のもとにご紹介致します。

 「…講座から帰宅して、その夜、思い切って夫に、これまでの感謝の気持ちを伝えたのです(20年ぶりにビールのお酌もしたりして)すると、夫は大変驚いていましたが、翌日メールで“20年間の仕事や職場での苦労がすべて癒されたような気がしました…”と言って、とても喜んでくれました。夫への感謝のメッセージは…気恥ずかしくて、思ったことの半分も言えなかったのですが、こんなに喜んでもらえ、気持ちがストレートに伝わるとは…今さらながら驚くとともに、親業に出逢えてよかった!としみじみ思いました…」

素敵な夫婦関係の決め手は「ありがとう」のたったひとこと
斉藤 茂太


*次回のコラムは3月20日前後の予定です。