2024年3月20日水曜日

つらいときこそ笑いなさい

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今年は親業上級講座も開催します(9月開講。4~5年に1回の講座です)

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つらいときこそ笑いなさい
チャーリー・チャップリン
Column 2024 No.130

 喜劇王で知られるチャップリンの言葉です。人は心地いいときには自然に笑えます。しかし、つらい時の笑顔は、無理むり作れても心から笑うことは難しいのではないかと私は感じていました。

 そんな折、知人のMさんから、力強い筆跡の一通の手紙が届きました。彼女は50代の頃“乳がん”を体験しました。彼女はその折に「笑う」ことが免疫力を上げるのに効果があるという情報を得て、色々な「お笑い番組」を毎日のように観たそうです。その効果あってか、彼女は見事にその癌(がん)を克服したのでした。

  つらいときの特効薬は 心から笑うこと
  アンネ・フランク

 ところが70代を迎えた今、再び“舌がん”が発見されたというのです…。私はとてもショックを受けましたが、続く彼女の一文に驚きました。「…今回、新たな“舌がん”の宣告を受けて、はっきりと気づいたことがあります。私自身が、新しい事実に向き合う勇気と、自己肯定感を手に入れていたということに!…50代の“乳がん”体験時に、沢山の“お笑い番組”を観たお蔭か、あれからとても楽天的になり、今回の舌がん体験では、いつも何とか私を笑わせてくれようとする夫の頓智(とんち)を超えて、私が夫を笑わせるようになりました…」
 この一文は、私にとって驚きでもあり、心打たれるものでもありました。

 彼女からのメッセージを読み終わって、すぐに思い出した映画があります。1990年代の終わりにセンセーショナルになった映画「パッチ・アダムス」というコメデイドラマで、医師パッチ・アダムスという実在の人物のいきざまを描いた映画です。(日本では1999年に劇場公開) コメデイ俳優で知られるロビン・ウイリアムズ主演の名演技が深く印象に残っています。ロビン演じる主人公、精神科医のパッチは、浣腸用の赤いボールを鼻に付けたり、さまざまの小道具とアイデイアで、患者を笑いとユーモアで楽しませ、医師たちの批判を受けながらも、その常識を覆すような治療で、多くの患者を癒していったのです。

  最高の治療薬は笑いである
  パッチ・アダムス

 日本でも“笑いの効果”は、医療や介護分野で徐々に認められてきています。笑いと健康の関係性がさまざまな角度から科学的に解明されてきたのです。“殆ど笑う機会が無い人”と、“ほぼ毎日笑う人”を比較した研究が、多方面で為されていますので、その辺りちょっとネットで調べてみました。その比較結果です。さまざまな研究チームの一部です。

大阪大学大学院の研究グループでは
 「…殆ど笑う機会が無い人は“認知機能”が低下するリスクが、2.1~2.6倍高くなる」
東京大学大学院医学部チームの論文によれば
 「…脳卒中になる割合が約1.6倍 心症患は1.2倍高くなる]
名古屋大学大学院予防医学の研究グループでは
 「…要介護認定リスクが1.4倍高くなる」
カナダで男女1739人を10年間追跡調査の結果、
 「…よく笑う人は22%も心筋梗塞や狭心症の発症率が低かった」

 …と報告しています。“笑いと健康”のメカニズムについても調べてみました。“がん・難病に対する生きがい療法”の創始者の伊丹仁朗医師によると「…健康な人の身体にも、1日3000~5000個ものがん細胞が生まれています。それらの細胞や侵入してくるウイルスなど、悪影響を及ぼす物質をしっかり退治しているのが、リンパ球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞で、このNK細胞が活性化されると、その結果免疫力が高まっていく。「笑い」は、NK細胞を活性化し、大きく免疫力を高めていく力を持っている。また笑うことで、幸福ホルモンと言われる“エンドルフィン”などの脳内物質が分泌され、幸福感をもたらすほか、モルヒネの数倍もの鎮痛作用で痛みを軽減します…」

 …と,ありました。しかし多くの人が「可笑しくもないのに笑えませんよね…」のレベルだと思います。この辺り、脳学者の茂木健一郎氏は興味深いことを述べています。「脳は自己暗示にかかりやすい。つまり騙されやすいのです…」と。つまり、口角をぎゅっと上げて作り笑いをするだけでも脳は“ああこの人幸せなんだな”と判断して脳内物質を分泌して、NK細胞も活発化するらしいのです。

  脳は騙されやすい。1日1回は精いっぱい大きく口を開けて、
  笑うようにしています
  五木 寛之

  特に面白くなくても、笑顔を作るだけでも
  効果があることも解かっています。
  西田メディカルクリニック院長

 ある落語家が「コロナ以来、僕の話を聞いても笑ってくれる人が少なくなりましたね。寂しいです…」と言っていました。コロナパンデミックによる不安が人類を席巻して確かに無感動の人が多くなった気がします。はじけるような笑いも街中からあまり聞けなくなりました。憂慮すべき事態ですね。

 実は、昔から“笑いは副作用のない妙薬”と言われ “笑いと健康”は大きく関わっている…と一般にも知られていたようです。仕事からも思い切り手を放して、“お笑い番組”を観たり(私は“落語”フアンです)、コメデイドラマを観たり、生活のなかにいっぱい笑いを取り入れて、心も身体も生涯健康で生き生きと人生を全うしていきたいものですね。その為にも自分から、更に視野と興味の羽をいっぱいに拡げて笑いのタネを捜し、お互いに遠慮せずに大声を出して笑っていきましょう。

  楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ
  ウイリアム・ジェームズ

*次回のコラムは2024年4月20日前後の予定です。