2020年4月20日月曜日

脳にいいことだけをやりなさい(その3)

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脳にいいことだけをやりなさい
マーシー・シャイモフ
Column 2020 No.83

 コラムNo81No82では下記1~4について触れました。今回は下記5から続いて書いてみたいと思います。

1 脳は楽しいことが好き
2 脳は刺激的な学習をすることが好き 
3 脳の衰えを老化のせいにしない~脳は齢を重ねても育ち続ける~
4 愛は脳を元気にする
5 脳の傷は癒せる
6 脳はだまされやすい
(※No7は次回のコラムに続きます)
7 脳は支配できる~脳は書き換えることができる~


5 脳の傷は癒せる

 医師松澤大樹氏によると“心の病は脳に傷がある…ことが原因であるが、その傷も食事療法・運動・有効な薬…で治っていく。治癒したことは画像ではっきりわかる…”その療法で、多くの人々の心の病(うつ病・統合失調症・アルツハイマー・認知症…)を癒してきた松澤氏独自の見解です。(著書「心の病は脳の傷」)

 現在の精神科の世界では、統合失調症・アルツハイマー・認知症…は抗精神病薬を中心に投与することで、悪化する速度を遅くするとか、小康を保たせるやり方が主流で、まず治る病ではない…というのがほぼ定説です。しかし、松澤氏のもとを訪れた多くの患者さんの脳の傷が、治癒に従ってその傷が無くなっていく、或は小さくなっていく状態が、画像(松澤式断層法)に、はっきり映し出されるのです。新たな細胞が生まれ、傷を修復している映像が明確にわかります。

 しかし、「治癒する!」…と信じているのは患者さんだけで、松澤氏の指摘は、従来の精神医学の常識とはかけ離れているために、やはりその世界では抵抗が多いようです。その結果、その治療方法によって、日本の医学界、精神科医の認識が変わることはなく、やはり従来通りの治療方法が、主流となっています。しかし私は長年、心の病を対象にしたカウンセリングをやっている者として、カウンセリングでは限界があると言われる“脳の病の治療法”がある…という朗報には小躍りして喜んでいる者のひとりです。

 “バナナを食べて走りなさい”…が松澤氏の持論で、脳を回復させる力がある必須アミノ酸トリプトファンを多く含む“食事”(バナナはその筆頭)と、“運動”を勧めています。あとはぐっと減らした有効な薬物です。

見事に「心」の機能を整理した松澤先生の仕事は、
何個ものノーベル賞に値する偉業だと、私は思っています
田辺 功(医療ジャーナリスト)


6 脳はだまされやすい

 作家の五木寛之氏も「脳はだまされやすい。私は一日1回は、精いっぱい大きく口をあけて笑う」と話していました。笑うと「脳」は、“ああ、この人は幸せなんだ!”と理解して、幸せの化学物質を出してくれる…というからくりです。

 「プラシーボ効果」という興味深い現象があります。病気の人に医師が「これはあなたの病気にとてもよく効く薬ですよ!」と伝えて、砂糖の塊を与えたら、事実薬効がある‥ということは、昔からよく知られています。「脳」は暗示にかかりやすいのです。茂木健一郎氏も「脳が“これは自分の病によく効く薬だ”と思い込むと、脳はそれに対応した動きをしていく…ということが、最近の研究でも明らかになっている」と述べています。

 祖父は東洋医学の赤ひげ先生で、地域では人気者でした。多くの人を奇跡的に癒すことで通っていました。今思うと、祖父の言葉にはまさに「プラシーボ効果」があったのだろうと思います。私は幼い頃、風邪をひくと、扁桃腺が炎症を起こし大きく腫れ上がって苦しんでいました。すると祖父は、私の喉に暫く手を当て、目を閉じて祈っているような雰囲気でした。そして「うん!すぐ治るぞ!10分もすれば大丈夫だ」本当に10分くらいたったら見事に痛みがとれていたものです。私の「脳」は祖父の言葉に見事にだまされていた…ということでしょうか(笑)

 昔から日本には“言霊(ことだま)”という言葉があります。言葉には不思議な霊力があり、ポジティブな言葉もネガティブな言葉も、その言葉を発すると、その人には勿論、それを聴いている人にも、深い影響を与えていくと言われています。だから子育ての上でとても大切なことは、子どもの心に、恐怖心や不安をあおるような言葉はできるだけ避けて、その子の素敵な行動・言動に目を向けて、ポジティブな言葉がけをしてあげることがとても大切です。なぜなら、その子はそのままを受けとって「脳」に印象させるからです。

いくつになっても“自分は若い!”という自己暗示は重要である。実際、
人間は暗示にかかりやすい動物である…(中略)若々しさが保たれると、
心の老化病である老人性痴呆は発症しない
松澤 大樹


*次回のコラムは5月20日前後の予定です。

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