2022年9月20日火曜日

四角い枠にこだわるな。キャンバスからはみ出せ

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四角い枠にこだわるな。キャンバスからはみ出せ
岡本 太郎
Column 2022 No.112

 岡本太郎氏のこのフレーズから、すべてに慎重であれ…という教育思想で育った上に、年齢を重ねるごとに、「慎重に!慎重に!」と、自分自身に確認しながら日々を生きていた自分だったとまず気づきました。このフレーズに出逢った時、私は思わず両手を天に向かって広げていました。広い世界を垣間見たような、すっと背筋が伸びたような快感を覚えたのです。ああ、私はもうひとつ枠を外したいんだな…と気付いた瞬間でした。

あなたの能力に限界を加えるものは、他ならぬあなた自身の思い込みである
ナポレオン・ヒル

 私たちは無意識ですが“かくあらねばならぬ”という思い込みをもって生きています。しかしその思い込みは自分を縛り、確実に私たちの人生を支配しています。“かくあらねばならぬ”という枠を外して、フラットな目であらためて世の中を見渡せば、面白いことや、自分にもできそうなことが、まだまだ沢山あることに気づきます。

 私は踊ることが大好きです。少し若いとき、フラダンス・クラシックバレー・社交ダンス…等々を通算15~20年間楽しんできました。しかし仕事が忙しくなったことも重なって、いつの頃かやめてしまいました。

 しかし“四角い枠にこだわるな。キャンバスからはみ出せ”のフレーズに出逢って、天に向かって両手を伸ばしたとき、“また踊りたいなあ”という想いが突然やってきたのです。“そうだ!かっこよく踊れなくてもOK。自分の動ける範囲の動きで踊ればいいのではないか!”…という思いに至って、20年近く離れていたダンスを再開したのです。

物理的であれ、何であれ、自分のやることを制限してしまうと、
あなたの人生や行動にも及んでしまう。限界などはないのだ。
停滞期があるだけだ。そこに留まってはいけない
ブルース・リー

 確かに若い頃のようには動けません。しかし大丈夫!見栄えは悪くても“昔取った杵柄(きねづか)”で何とか踊れています。思い切って枠をもうひとつ外してみると、こんなにわくわく出来るものなんだ…と一人でエキサイトしています。

地球は、俺の遊園地だ
三浦 雄一郎

 三浦氏の地球を見つめる壮大な視点に感動します。プロスキーヤーであり、登山家である三浦氏は70歳を過ぎて3回(70歳・75歳・80歳)エベレスト登頂を果たしています。今年90歳を迎える彼は難病を抱えながらもなお夢をあきらめず、来年はヨーロッパ最高峰エルブルース(ロシア)でスキー滑降(デユアルスキー)を目指すと宣言しています。「出来たら自分の足で滑りたい」「僕はいつも何とかなるという楽観主義で来ました」四角い枠にとらわれず、はみ出しっぱなしの雄一郎氏の生き方には、何だかほれぼれと致します。

私はクルミの殻の中に閉じ込められた小さな存在に過ぎないかもしれない。
しかし、自分自身を無限に広がった宇宙の王者、と思い込むこともできるのだ
ウイリアム・シェイクスピア(劇作家)

 自分自身を殻をかぶった窮屈な存在と見ることもできるし、殻にこだわらず、自分自身を宇宙レベルで見つめることもできるんだよと、彼は伝えているのです。自分の限界を設けない彼だからこそ、「ハムレット」「リア王」「ロミオとジュリエット」…等々。奇跡的な不朽の名作の数々を残せたのだと思います。

自分が何者かに固執しなければ、自分がなり得る最高の自分になれる
老子

 「枠にこだわるな」といった賢者や先達のフレーズは、齢を重ねた私たちの心をも大きく揺さぶり、まだまだ大丈夫!出来ることはある!と、勇気づけてくれます。私自身もちょっとその気になって改めてダンスに挑戦をしました。しかしまだ充分に勘が戻らないので、微妙に曲に乗り遅れたり、ターンのときに眩暈がしたり、時には相手の足を踏んづけたり(笑)散々の日もあるわけです。でも、私はやはり“心が喜ぶこと”をスタンスに、自分の心に正直に、怖(お)めず臆せず生きていきたいと思っています。

 私たちの多くは悲観的なものの見方に片寄ってしまっています。そこに楽観的な見方・考え方を加味していくことで、ニュートラルなバランスをとっていくことの深さを感じさせてくれるフレーズに出逢いました。

楽観主義者は青信号しか見えていません。
同じように悲観主義者は赤信号しか見えていません。
でも賢者には両方の信号が見えているのです
アルベルト・シュバイツアー

 楽観主義、悲観主義については前回(コラムNo111)触れました。楽観主義者は、自分が住む世界はいつも安全で興味津々。愉快な冒険に満ちている場所…と捉え、一方悲観主義者は、世界は危険に満ち溢れていて、気を許せる場所ではなく、冒険など、とてもできる場所ではない…と自分の住む世界をとらえている。

 一方、こんな捉え方ができる存在もいます。どんな世界にいようと自分軸をしっかり持っていて、自分の感じ方を大切にしている。今わくわく生きたいと思うなら、キャンバスからはみ出すこともできるし、ここは慎重に!と感じたら、ちゃんと足元を見て行動もできる。自分の枠(制限)に気づいており、外すべき枠はこだわらず外していける。視野を広げてみれば、ここは、限りない創造性と自由性に満ち満ちている世界なんだということを知っている存在。それを賢者と言う・・・と。

*次回のコラムは2022年10月20日前後の予定です。

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