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Column 2025 No.140
人は誰しも、意識的か無意識的かにかかわらず、「自己実現」を目標に定めて人生を生きていると言われます。自己実現とは、すべての人のハートの中に存在する “高次の自分” に統合していく状態で、それを心理学では “自己実現”。仏教では “悟り”。スピリチュアルな文脈では “覚醒”… などと表現しています。
自己実現に至るまでには、私たちは自分に必要な体験、つまりやりたいことをやって欲求を満たし、苦悩の体験・喜びの体験を通しての深い気づきを得ながら、智慧を重ね、徐々に “高次の自分” へとステージを上がっていきます。そしてやがてやっと辿り着ける境地が“自己実現”です。
やりたいことをやる… というと、それは我がままというものではありませんかといった反論が必ずあります。確かに我がままと見える行動もあるかもしれませんが、実はその人が本当にやりたいと思う欲求の中にこそ、その人の魂の答えが潜んでおり、より高い視座で見れば、“いい・悪い” “正しい・間違っている” は本来的にはないのです。
それぞれの人の中に「魂のナビゲーター」のようなものがもともと備わっていて、体験しながら生き方を修正し、行くべき道に気づくようになっているということは、現在ならびに歴史上の多くの賢人が言及しているところです。行動してみなければ、その人の真実はいつまでも隠されたままになりやすいのです。「なまけ者のさとり方」という世界的ベストセラー本著者の次のような言葉もあります。
間違ったことをする自由を赦す。
無知なままでいる自由を与えるということは、
霊的な成長を遂げていく道で、
最も厳しく最も重要なステップのひとつなのです
タデウス・ゴラス
一つひとつの体験を通して大切なことは「感じる」と言う行為です。「感じる」という行為があるから、私たちはその体験からしっかり気付いて学べます。 例えば、ネガテイブな体験をして、“この体験から自分のやったことはまずかった。もう繰り返さない!” と気付くから、そこを終えて自然に次のステージに進めるのです。そこで学んでいないと、不思議ですが、また似たような体験を無意識的に引き寄せて学ぶこととなります。ある意味、私たちは常に学び成長・進化しようとして果敢なる行動を惜しまない存在とも言えるかもしれません。
この辺りでよく勘違いしがちなのは、感情を “感じる” ということと、感情に ”浸る(ひたる)” ということの違いです。「感じる」という行為は、自分の感情を俯瞰している状態ですから、感情に飲み込まれていない状態です。だから自分の真実に明確に気づいて学んでいけるのです。一方、感情に「ひたる」という行為は感情の中に巻き込まれている(同一化している)状態ですから、感情にアップアップしている状態です。感情に飲み込まれた状態では真実は見えにくく学びにくいのです。一つひとつの感情に長居をするとよく起こる状態です。
コラムNo124で触れましたが、感情は感じて気付いたら手放す必要があるのです。なぜ手放す必要があるのか… もう一度ポイントだけまとめてみます。
いつまでもその感情に捉われたり、ぼんやりとその感情に浸っていると、感情が支配権を持ち始めてその感情から抜け出ることが難しくなります。そして何よりの弊害は、感情に翻弄されると、体験からくる今の真実を捉えることができない。つまり折角の体験から学べないということです。
そしてもう一つ、“あなたの感情は、実はあなたの人生の方向性を決めていく” という事実を意識しておくことが大切です。その感情にいつまでも執着していると、その波長に合ったあなたが望まない人生を引き寄せてしまいやすいのです。
それではどうしたら感情が手放していけるのでしょうか… その辺りは同コラム(No124)をよろしければご参照して頂くとしまして、ここでは本日のテーマに沿って、「感じる」ということをもう少し具体的に見ていきたいと思います。
「感じる」ということは、今の本当の感情を心を込めて俯瞰すること
自分の ”今ここ” の感情に、おぼれないで、その感情を俯瞰する。つまり体験から生じる感情を感じ切ることこそが、自分を理解するベースです。その結果、自己理解が進むにつれて「自己実現」の目標へと大きく近づいていきます。親業では自己理解を深めるために、自分自身の感情や思考を「能動的にきく」(共感的傾聴法)という方法を勧めています。つまりあなたの “今ここ” の本当の感情に気づき、批判やバッシングを一切やめて、ただ共感をもって感じたままをゆったりと感じてみるのです。セルフカウンセリングに近いものです。
- 自分「今日仕事でミスをして課長に怒られてすごく傷ついてる …」
- もう一人の自分「そうか。課長に怒られて傷ついたんだね」
- 自分「うん。ミスよりも同僚のいる前で怒られたことが悲しい!」
- もう一人の自分「そうか、ミスよりも怒られているところを同僚に見られたことで凄く傷ついているんだねぇ」
ありのままの感情を、否定もせず同意もしないで、ただ共感しながら聴いていくこの “共感的傾聴法” は、感情の交通整理の効果があるので、重い感情が解き放たれ、本来自分の中にある方向性が見えてきます。つまり感情におぼれず、自分の本当の感情や思考を俯瞰できるので、自分の中から真の答えが来やすいのです。
体験を通して “感じる” ことで、自分の中から答えが来る… これが “自己理解” の真髄であり、この真の “自己理解” こそが「自己実現」へと着実に向かえる重要なポイントだと思います。痛みから学び、歓びから学んで、いっぱい気づき、「自己実現」への歩みを更に進めていきたいものです。
自然な欲求を満たしていくことは、決してエゴイズムではない。
むしろ低次の欲求が満たされると、高次の欲求へと向かい、
それは “自己実現” さらには “自己超越” に至る人間成長に繋がっていく
アブラハム・マズロー
*次回のコラムは2025年2月20日前後の予定です。