2014年12月1日月曜日

チャンスはピンチの顔をして近づいてくる

Column 2014 No.17

チャンスはピンチの顔をして近づいてくる
                                        - 武田双雲 -

 「チャンス」という言葉を聞くと私たちの多くは“よい機会”いわゆる“好機”と捉えて理解していますよね。諺にも「チャンスは前髪をつかめ!」というよく知られたフレーズがあります。「チャンスが来たぞ!と思ったら迷わずに、手を伸ばしてその前髪を掴みなさい!チャンスには後ろ髪がないから見過ごしたら、もはや掴むことはできないよ」という意味であり、要は“好機は逃すな”という警告でもあります。何だかユーモラスですよねえ・・・。

 ところが双雲氏は「・・・自分の前に、壁が立ちはだかって、“もう駄目だ”と思ってしまうとき、僕はチャンスだと思うようにしています・・・」と述べています。

 この種類のチャンスは、私を含めて多くは、掴むどころか恐らく逃げ出したくなるのが本音でしょう(笑)しかし年齢を重ねるに従って、彼が言わんとする「ピンチこそチャンス」の意味が真実だと理解できるのです。
 あのピンチがあったからこそ今の自分があるんだなあ・・・・と。

 しかし、双雲氏の言う“ピンチの顔をしてやってくるできごと”に、“これはチャンス!だ”なんてすぐにはとても思えないし、多くはそのできごとに圧倒されて、焦り・不安・自信喪失のなかで、この環境を制する(逃れる)ためにできることを必死で思い巡らし、戦いもがき、逃げたり隠れたり・・・(笑)

 しかし、その苦しいできごとからどのように逃げても隠れても何の解決にもならず、対峙せざるをえない破目にやがては陥ります。そして自分の中にあった底知れぬ 恐怖心や弱さ、愛の不毛、罪悪感、小賢しさ・・・・に、はからずも出逢うことになるわけです。しかし色々な感情に翻弄されながらも本気で対峙し始めたときから、問題は徐々に解決に向かい始め、さまざまな感情も徐々に“諦念”の域に達し、自分をあるがままに許していくプロセスに気付くことで、再び小康状態が訪れる・・・。

 ここに至ったときにあらためて、致命的だと思っていたそのできごとが、私のそれからの人生の可能性にギア・シフトしてくれたかけがえのないチャンスだったんだなあ・・・とやっと確信できる。苦しみもだえ、自分の中の弱さや醜さに出逢い、その痛々しい体験を通して自分の中に新しい視点が生まれてくる! 言葉にするにはとても難しいのですが、魂の皮がひとつ“くるっ”と剥けたような感覚・・・・。自分への視点が変わり、同時に他者への視点も変わる・・・・。ひとことで言えば愛の感覚がちょっぴり深まったような・・・。

 そうかといってやはりピンチは怖いし、できることなら引き寄せたくはないけれど、しかし「人生は即ち学び」だとしたら、自分の成長にとって必要なら、無意識を含めて私の魂はピンチを引き寄せてまでも、学ぼうと覚悟をしているのかもしれない・・・・。
 ある賢者のことばが、今の私にはしみじみと理解できます

たましいを脅かすようなできごとは、何ひとつあなたの人生には
起こりません。ほんとうに、人生のすべての体験は目覚めをうな
がしてくれます。たましいの成長に役立たないものは
何ひとつありません

最近受講者のAさんから頂いた手紙の一節をご紹介します。彼女の上に、ある大変苦しい出来事が起こり、もがき戦って・・・・そして得られた彼女の今の心境です。「・・・・人生には一点の無駄もないんですね。あのときの私の選択を、あとであれは間違っていた・・・と言ったり思ったりしたけれど、まさに適切な最高の選択だったのだと、今は思うのです。他者を傷つけたり、他者に傷つけられたことを含めて・・・・。私はそこから学んだのだ。気付いたのだ! だから罪悪感は一切要らない! 罪悪感を持っていると前に進むことができませんものね・・・・。」

 この方も、ピンチをチャンスに大きく生かした人です。こんなに深い気付きは、多分幸せの中からは生まれてこなかったでしょう。逃げず隠れず、ピンチにきちんと対峙して、戦ってもがいたあかつきに得られた深い気付きです!この気付きは彼女のこれからの人生を大きく変容させていくことでしょう。

 彼女は、自分を大切に、自分に正直に人生を楽しんで生きている人なので、こんなピンチからも逃げず、まっすぐに対峙でき、そしてそこから学べる人なのです。楽しめる時には人生思い切り楽しんで、エネルギーを絶えず蓄えておくことは、自分への大きな愛だと思います。私も学ばせていただきました。


*次回のコラムは12月20日前後の予定です。

6 件のコメント:

  1. 自分が何年か前に子どものこと、夫のことで悩んでいた時はそれがピンチとも思わなくて必死に自分に対峙していた様に思います。

    あの時の自分より成長している今の自分・・・
    あの時に色んな気づきをしたなぁ・・・  
    だからあれは私のピンチだったんだ!

     ピンチの時にチャンスと思う

    でもやっぱりピンチは怖い・・・。

    新しい格言?ことわざ?を作るとピンチも初めから
    チャンスの顔をしてきてくれるかな?

     ちゃんす、チャンス、チャンス!
    全部カタカナではないところがポイント。
    集団意識から外れて独自の意識を作る・・・。
      楽しい世界にようこそ みたいな。

    うまく表現できないのですが今回のコラムで
    こう感じた私です(・∀・)
     

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  2. MOONさま

    MOONさんも過去には苦しいことがあって、その時はそれがピンチとも思わずに必死で "自分に対峙"してこられたのですねえ。そしてやはり成長をした今の自分を感じていらっしゃるんですね!

    ピンチの時は、問題そのものに向かうことは勿論、"自分に対峙する" ということがチャンスにギア・シフト出来る一番の要素なんだなとしみじみと思いますね!

    でも、お互いピンチはやはり怖いですよねえ…..。

    そこでMOONさんの言われるチャンスの捉え方…。近づいてくるものがピンチの顔であろうとチャンスの顔であろうと、つまり集合意識で見る世界とは違う独自の意識を持って、例えば "楽しい世界へようこそ!"的な視点で見れたら、もしかしてすべてがチャンスの顔に大変身!…という意味合いでしょうか。違っていたらごめんなさいね。

    ともかくも、どんなことが起こってもすべての体験は魂の目覚めと成長をうながしてくれる…という賢者の言葉は励みになりますね。

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  3. "たましいの成長に役立たないものは何ひとつない"
    "チャンスはピンチの顔をして近づいてくる"

    「うん、うん。今までのピンチや苦しいと思える出来事があったからこそ、
    今、こうして子どもを見つめてるだけで心からわいてくるなんとも言えない
    ”愛”を感じることができるんだよね。ピンチ、葛藤、苦しみありがとう。」
    そう思える自分がいたりします。

    でも、やはり本当にピンチは怖い・・・・。ピンチのど真ん中のときは、
    もがき苦しみ、目の前の大事なことが見えなくなってしまう。
    すべてが暗闇の中。。。それでも、そのもがき苦しみや暗闇にいることも
    大事だったりする・・・・。

    う~ん、難しい。

    それならば、目の前にどんな出来事が起きようとも、心の中にいる
    自分を見つめ、その時の自分の心に沿った、正直な生き方、選択を
    していきたいと思う自分がいます。
    あとは、流れに沿ってなるようにしかならない。きっと大丈夫。

    そう思うだけで、心がジーンとします。

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    1. 匿名さま(Tさま)

      ほんと! 過去のピンチのできごとがあったからこそ、たましいはやっぱり成長し、子供を見つめる眼差しには無条件の愛が…。

      「ピンチ、葛藤、苦しみありがとう… そう思える自分自分がいたりします… 」 というTさんのメッセージ、心うたれます。

      お互いにピンチは怖いけど、来るものは来る(笑) だからおっしゃるように 何が起きようとも自分を見つめブレないで、正直に、できることをただやっていく。

      "何事もたましいに役立たないものはない…" それを信頼できると心が温かくなり、勇気が湧いてきますよね!

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  4. どこまで逃げても、隠れても、自分と向き合うハメになる。
    夏休みの宿題に期限があるように、人生にも期限がある。
    全てを明け渡す事が出来れば、自分をあるがままに認めることが出来れば
    どれだけ自由に生きられることでしょう。

    自分の中にある弱さ、罪悪感、恐怖、孤独感、焦燥感、劣等感…。
    そんな感情を持ちながらも
    遥か先に見える一筋の光を辿りながら
    今を感じ、表現することが自分を癒す事で自分を愛することではないかと…。

    自己実現の為にエネルギーを蓄えておくこと。
    一筋の光が全体を照らせる時が来るために。

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    1. あきこさま

      自分のすべてを丸ごと愛し、明け渡すことができたら、仰るように本当に自由でいれるでしょうね。

      自分の中の弱さに気付き、許し、必ずや辿り着ける自己実現への希望を光として、自分自身のまんまで今を感じながら、確実に生きていきましょうね

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