2022年6月20日月曜日

一日のうちに何かひとついいことがあれば、私はその日はとてもハッピーなんだ

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一日のうちに何かひとついいことがあれば、
私はその日はとてもハッピーなんだ
ヘルベルト・フォン・カラヤン
Column 2022 No.109

 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の終身指揮者・芸術監督であった、故カラヤン氏のフレーズです。その日の演奏はカラヤン氏にとってはとても不満足なものでした。ところがそのあと食事を始めたカラヤン氏が「私は今日はとても幸せだ」と言うので、隣にいた人が意外に思って訊くと「このキャビアがとってもおいしいから。私は一日のうち何かひとついいことがあったらその日はとてもハッピーなんだ」と答えたそうです(月刊誌「サインズ・オブ・ザ・タイムズ」より参照)

 私たちはものごとがうまくいかないとき、いつまでもそれに捉われてくよくよしたり、周りの人に不機嫌に接したりする傾向があります。うまく機能している出来事や自分自身の素敵な側面はあまり見ようとしないで、うまくいかなかった側面や自分自身の中の足りない側面に注目して、いわゆる“あら探し”に夢中になっている自分がいます…。私はカラヤン氏のこの一文を目にしたとき、幸せの真髄を見た気がしました。

幸せになれるかどうかではなく
幸せを感じるのはその人の心である
エドマント・スペンサー

 まさにその通りで、どんなにネガテイブな感情に翻弄されていても、カラヤン氏がキャビアの美味しさに気づいたように、今ある幸せに気づいて今日はいい日だった…と幸せを感じる“感性”を育てることはとても大切に思いました。

「今日は仕事が思うように運ばなかったけれど、ふと空を見上げたら、広々として透き通るような空の美しさに魅了された。…だから今日は幸せなわたし!」
「もやもやと気分が落ち込んでいたけれど、曲に乗って好きなダンスを一人で思い切り踊ってみた。ダンスを楽しめた今日はハピーな一日!」

 生活しながら「わあ!素敵!」と、今ある幸せに気づく。また一日ひとつでも自分の心が喜ぶことをやって、「今日はこんなに楽しいことができてハピーだった。最高!」…と、周りの環境や自分の行動にしっかりとOKを出していく。“幸せを感じる感性”を大事にして、一日一日を丁寧に生きていく。それをとても大切に思ったのです。

 私は講演などでよくお伝えしてきました。「一日ひとつでもいい。あなたの心が喜ぶことをやりましょう」…と。その時、よく質問にあったのは“何をやっても楽しいと思えないんです”とか“心が喜ぶことが見つからないんです”…等々でした。それは恐らく幼い頃から、周りの大人の要求に合わせて生きてきた結果、自分の欲求を感じる練習が少なかったことが原因のひとつだと思います。だからこそ人一倍自分自身に優しく優しくしてあげて下さい。一度しかないあなたの人生です。もはや他者や環境のせいにしている時間はありません

あんまり深く突きつめて考えない。“今日を楽しむ”
と考えていけば何とかなるんじゃないかな
やなせ たかし

 私たちはすべてを深刻に考え過ぎているのではないかと思います。後悔の念に捉われたり、まだ来ぬ未来に思いをはせて不安に取り込まれたり、なかなか“今”に立てない自分があります。

人生とは自分探しをすることではない。
人生とは自分を創ることである
ジョージ・バーナード・ショー

 自分探しも大切ですが、人生はあまりに短いのです。せっかく与えられたこの人生で自分が何をやりたいのか、どういう人生を歩みたいのか…を自分に尋ねて、なりたい自分を創っていく。生きたい人生を創っていく…ことの重要性を、バーナード・ショーは教えてくれています。

 実は私自身が自分の欲求がわからなくて、生きたい人生も見えていない人でした。でも“まず一歩から”と思って始めたことは、自分自身にたえず「今何がしたい?」と、尋ね始めたことでした。その質問の陰に、生きたい人生の答が潜んでいると直感したからです。

 朝起きて夫と子どもを送りだした後、いつも自分に訊いていきました。答えは必ず来ました。「何がしたい?」…“眠りたい” 「何がしたい?」…“コーヒーが飲みたい” 「何がしたい?」…“海が見たい”…それを正直にやっていくことは、最初は罪悪感と“共歩き”でしたが、その都度“いいのよ いいのよ!”…と自分にエールを送りながら果敢にやっていきました。それは、自分自身の人生の欲求が見え始めるための、基本的な訓練だったのです。

 そして今、カラヤン氏のフレーズで学んだことは、“一日の中の僅かひとこまの喜びでもその都度気づいて、私の人生を彩っていこう”ということでした。そのことを忘れてしまっていたら、就寝前に「今日“ひとりカフェ”で飲んだコーヒーは飛び切り美味しかったなあ。だから今日は素敵な一日だった!」と、何でもない幸せでも確認して、眠りにつくことにしています。私の幸せは誰も創ってはくれないのです。私の心だけが創っていくのですから。

しあわせを数えたら あなたはすぐに幸せになれる
アルトウル・ショーペンハウアー


*次回のコラムは2022年7月20日前後の予定です。

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5 件のコメント:

  1. このコラムを読むことをすっかり忘れていました。
    今日のフォローで下村先生に、「読んでいないんですね」と言われて「そうだ、今年になって読んでない!」と気付きました。
    動画を見ることに懸命でした。自分軸をしっかり作ろうと。

    タデウス・ゴラスの書いていることにうんうんと納得しながら、すごい!と思いました。
    自分を認め、愛することに徹すれば(なかなかできませんが・・・)(少しづつ出来てはいますが)自分軸はできていくんだと確信しました。
    ありがとうございました。

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    1. Kiyokoさま


      一昨日の教師のフォローの会でのことですね。Kiyoko さんは私のコラムをいつも読んで下さっているとお聞きしていたので、当然の気持ちでタデウス・ゴラスのことをお話したら全く反応がなかったので…「そうかあ、読んでくださってないんですねえ」となったわけです(笑) OKですよ!心が向くまま、気の向くままに動画を見たり、コラムを読んだり…。素敵な姿勢です!

      kiyokoさんんの今回は、コラムNo108についてのコメントですね。有難うございます!ゴラス氏のフレーズをうんうんと納得しながら大共感して下さったようですね。彼は、「自分を認め自分を愛していくことは、その愛は世界に宇宙に広がっていく。その広がりそのものが悟りでもあります…。」と言っています。

      言葉を変えれば、kiyokoさんの言われる 悟りに至る道はまさに ”自分軸を確立していくプロセス” でもあります」 読んで下さって有難うございました!

      講座の中で、kiyokoさんが、”周りの人を変えることは難しいけれど、周りの人の中に見える自分の行動を変えていくと、不思議に相手の行動が変わる。実は自分が引き寄せていたんだと…気付いた” というお話は とても心打たれるものでした。 

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    2. kiyokoさま


      今回のコメントへの返信者名Ryokoshimomuraが、誤操作のため「匿名」になっています。ごめんなさいね。

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  2. カラヤンさんは幸せな瞬間を見つけて自分を大切にする、愛する、ことを実行されていたんですね。世界の人々が演奏を聴き評価が伴う環境の中で他人の評価に左右されず自分自身がハッピーな気分になる感性を大切に行動されていたんですね····。
    どんな世界、環境に居ようとも他人に自分の幸せや不幸せを決められるのではなく自分の意思次第でハッピーな自分を認められるんですね。

    「人生とは自分探しをすることではない。人生とは自分を創ることである」バーナード・ショーさんの言葉にも惹かれました。

    生きたい人生を創っていくんですね。


    ハッピーなことを見つけたらその1つだけに執着することなく次のハッピーを見つけて生きたいと思いました。
    有り難うございました。

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    1. MOONさん

      どんな不愉快なことがあっても、一日ひとつでもいい心が喜ぶことがあったら、その日は幸せな日なんだ!…と言い切れる感性をお持ちのカラヤン氏って素晴らしいですね。

      おっしゃっているように、幸せ!と感じる感性つまりものさしは他者の中に在るのではなく自分自身の中にあるのですね。しあわせ…と感じれる感性をお互い更に育てていきたいものですね。

      人生とは自分を創ること…というバーナード・ショーの言葉には心惹かれますね。もう自分探しをする時間なんてないのかもしれない。なりたい自分を創る!生きたい自分を創る!クリエイテイブな私たちは、もうどんどんそこに向かっていくべきなのかもしれない…と、思えて仕方ありません。

      湧き上がっては消え、消えては湧き上がってくる幸せをキャッチでき、またその幸せにも捉われないで手放していける…おっしゃるように執着することのないその身軽さって素敵ですよね。有難うございました!

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