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Column 2023 No.119
今回のコラムは、前回の「内面に巣くう“むなしさ”を見つめる」(No118)のコラムに続く思いを纏めてみたいと思います。前回の一文の最後の辺りで「人類の永遠のテーマであるむなしさへの対処法のひとつは過去を憂いたり、まだ来ぬ未来を思案することではなく、この瞬間に今できることをやっていく…ことではないだろうか」と書きました。
古(いにしえ)から多くの賢者・識者も「いま」というこの瞬間の大切さとか、今を生きることの大切さを強調しています。その辺りを釈迦も述べています。
過ぎ去ることを追うことなかれ
いまだ来たざることを念(おも)うことなかれ
過去、それはすでに捨て去られたり
未來、そはいまだ知らざるなり
されば ただ現在する(いまある)ところのものを
そのところにおいてよく観察すべし
揺らぐことなく 動ずることなく
そを見きわめ そを実践すべし
ただ今日 まさに作(な)すべきことを熱心になせ
なぜこの今のひとときが、この一瞬一瞬が大切なのでしょうか。確かに私達が現実に存在するのはたった今、この瞬間だけです。しかもすべての瞬間はたちまち過去になってしまいます。実は今、自分の目の前にある現実だけが、私達の生きることができる人生です。過去に生きることはできないし、まだ来ぬ未来を生きることもできないのです。
…としたら、かけがえのないこの瞬間が、私たちにとっていかに価値があり、大切な瞬間であるかの意味が分かります。可能性を選択できるのも今しかありません。過去や未来に思いを飛ばして、憂いたり不安に思って生きていく一番の損失は、今現在を生きるエネルギー・パワーを、過去や未来に分散してしまうことになるということです。パワー不足になるために今を生きる元気がなくなり、今のこのひとときを益々活用できなくなるのです。私達が孤独感を感じたりむなしくなったりするのは、実は、過去や未来ばかりに生きて、エネルギーを分散してしまっていることが大きな原因だということがよく理解できます。
1990年代後半の米国映画「いまを生きる」に登場する新任教師キーテイングの数々のメッセージはまさに今を生きるということはどういうことかをとても明確に表現していますので幾らかご紹介します。
今日を楽しめ 自分自身の人生を 忘れがたいものにするのだ
親の期待に縛られながら、しかも学校の古い伝統と厳しい規律の中でうつうつと生きている生徒達の前に、新しく赴任してきた型破りの教師キーテイングは、ユーモアあふれる独創的な授業で、厳しいルールや固定観念から生徒たちの心を徐々に解放していきます。
君だけの道を見つけろ
自分だけの歩み
自分だけの方角を
立派でも愚かでもかまわん
自分がどんな人生を送りたいのか。どんなことをやりたいのか…今現在だけがその可能性を握っています。キーテイング教師は生徒を机の上に立たせ
なぜ机の上にいるのか分かるか?
ものごとを常に異なる側面から見つめる為なんだ。
先入観に捉われず自分の感性を信頼して自分の声を見つけるんだ。
今を生きろ!今日咲き誇る花も明日は枯れてしまうのだ
彼は生徒たちに、敷かれたレールから降りて、自分らしく自分の頭で考え行動することの重要性を、ホイットニーの詩を時折引用しながら教えていきます。生徒たちは彼の授業を通して、今を生きる意味を理解し、自由に生きる自分の道を見つけ、逞しく歩み始めます。
さて、前回私のコラム(No118)へのコメントを下さったお二方の「むなしさ」の捉え方は「むなしさへの対処法」として貴重な示唆があると感じました。参考になると思いましたので、ここに挙げてみたいと思います。
MOONさんは自分にきた「むなしさ」と闘うのではなく、去る時には去ってくれるだろうという信頼をもって、そのまま心の中にいることを許し、共にいてあげようと決められた。思っていた通り10日間くらいしたら何のきっかけもなく「むなしさ」は去っていった。
ももこさんは「むなしさ」のもととなっている事柄は見えつつも先送りしていたけれど、思い切って今できることで対処された。するとこれまで捉われていた「むなしさ」の感情が、霧が晴れるように去っていった。
MOON さんの、「むなしさ」の感情と共にいてあげる。またももこさんの、「むなしさ」のもととなっているものが何かに気づき、思い切って一歩前に進んでみる…。それぞれお二方にやってきた気づきは貴重です。お二方のように、私たちは自分の中に必ず答えを持っています。自分の感性を信じて、むなしさにも対処していけば、あなたなりの答えが必ずやってくる筈です。
作者不詳ですが、ご紹介します。まさに今日、今だけがギフト!そのギフトを思い切り利用し、楽しんで生きていきたい…そんな勇気が湧いてくるフレーズです。
昨日はヒストリー
明日はミステリー
今日はプレゼント
映画「いまを生きる」のキーテイング先生、映画の中の人物とはいえ、なんて素敵な人なんでしょう!私も学生の頃に机の上に立ってみたかったなーと思いこの映画を観てみようと思いました。
返信削除「今を生きる」
何かに夢中になっている、楽しいと感じることをしている、心地よい感覚でいる、自分のことが好きと思えている、不安じゃない瞬間、怖れがない瞬間・・・・そんなことを思いました。
「むなしさ」への対処法についてコメントをいただき有り難うございました。
自分の中に必ず答えがある を実感することが増えているこの頃。
モモの物語のベッポが今を生きて過去を美しいものにしたように私の過去が自分からの答えの選択の積み重ねででキラキラ美しいものになると確信して今を生きよう、生き続けよう!と決めました。
有り難うございました。
MOONさま
削除映画「いまを生きる」に登場した新任教師のキーティングのメッセージ本当にすばらしかったですよ!永遠の記憶に残る名画と評されていますので、機会があったら是非観賞してみてくださいね。
おっしゃる通りです。楽しいと思うことに夢中になっている時って時間が経つことも忘れて、虚しさなんて吹っ飛んでしまいますよね。”心が喜ぶことをする” ことは虚しさへの一番の対処法かも知れませんね。
「自分の中に答えがある」と、実感されることが増えてきたと…。MOON さんはこれからも、自分から来る答えを信頼してそれを積み重ねっていったら、さらに輝いた人生になっていくだろうという確信を持って今を生き続けようとおっしゃっています。私自身も大共感です。有難うございました。