ウィキぺディアによると「ストレスとは生活上のプレッシャーや悪感及びそれを感じたときの感覚である。人間および殆どの哺乳類では、自律神経系と視床下部・下垂体・副腎系がストレスに反応する主要なシステムである。ストレスの概念は、1930年代の生理学者ハンス・セリエの研究に起源を持つとされる」とあります。
最近の精神医学では、病気は主にストレスから起こると言われています。アメリカワシントン大学の精神医学者T・H・ホームズらは1968年に一般生活の中で生じる様々な状況を分類して、ストレスと病気との関連を調べています。その結果、ストレスランキングの上位を占めているものが「配偶者の死」「離婚」「別居」「近親者の死」「傷や病気」‥‥等々を挙げています。妻を亡くした夫の、続く6か月間における死亡率は、普通の場合より40%高いと報告しています。
確かに配偶者の喪失は、人生においてどれほど大きな衝撃かは理解できます。しかしすべての人がそういった体験で、同じように病気になったり死に至っているわけではありません。暫くは寂しさに翻弄され、落ち込んだり希望を失ったりは当然あったとしても、やがて自分を取り戻して自分の人生を生きていく人もいるのです。その違いは何でしょうか。
私たちの最大の弱点はストレスではなく、ストレスに対する私たちの反応です
ハンス・セリエ
以前、ある人から聞いた話ですが…とても妻を愛していた人がありました。ところが彼の妻は治療困難な深刻な病にかかり、夫を残して突然亡くなってしまったのです。喪失感からの夫の悲しみは尋常ではなく、妻の遺影の前で毎日泣きじゃくり、一歩も家から出ることができなくなりました。体調にも影響が出始めました。
周りの人は危機を感じてカウンセリングを勧めました。受けることを決めたその人は、数回のカウンセリングの後、こんな助言を受けたのです。「Sさん 例えばあなたが、奥さまより先に逝かれたとします。愛する奥さまが今のあなたのように希望を失い毎日泣き続け、体調をくずしていかれる姿を想像した時、Sさん、どんな気持ちですか…」と。
彼はそこでハッと気づいたのです。“そうか愛する妻が、今の自分のようになっていることを考えたら、とてもやり切れない気持ちだ。それを妻ではなく自分が今やっているのだとみれば納得できる。愛する妻のために、もう哀しむのはやめよう”と意識の転換をして、新しい気持ちで立ち上がったというのです。
事例説明が長くなりましたが、確かに、ハンス・セリエが言うように、私たちの身に何が起こるかということよりも、その起こった状況に、私たちがどう反応するかが重要であること…がこの事例でよく理解できます。
あなたのストレスを解消できるのは あなただけです
ラルフ・ワルド・エマーソン
まさにエマーソンの述べている通りで、自分の中のストレスを回避していく答えは外にはありません。その答えを持っているのは自分自身です。実は私自身、自分の人生を生きていく上でとてもストレスを抱えやすく、ストレスと闘ってきた者の一人です。アメリカの心理学者の
アブラハム・マズローが「欲求の五段階説」(コラム
No15、
No33)で述べている中に、ストレスの起因の一つを見つけることができます。
基本的な欲求を満足させるのに充分な環境に育った人は、後々これらの欲求がかなり長い間満たされなくても、耐えていけるだけの強い一貫した性格を発達させる。それは人生の初期、二年間が非常に重要である。初期に安全で安心感のある環境で育った人は、その後如何なる境遇に直面しても安定感と強さを失わずにいられるのである
私の幼少期時代は、社会的な環境の中にまだ戦争の匂いが残っており、食糧難・貧困等、人々の心の中に不安が蔓延していた時代でした。また母は病弱でしたが大家族の中で彼女なりに孤軍奮闘していました。子どもに愛を注ぐどころではなかったでしょう。そんな環境の中で幼少期を生きてきた私の心の中には、今も大小の不安が見え隠れしています。無意識ではありますが、そのストレスと闘いながら、これまでの人生を生きてきた自分を感じます。
しかし次のウォーホルの言葉に出逢ってからは、“起こるすべての事象は大した問題ではない”…と納得し、ストレスには真摯に対処しつつ、神経質に考えることは徐々に辞めていきました。ストレスに影響されて「今を生きる」と言う本質を見逃してしまっている自分に気づいたのです。
それは大した問題ではない。私はいつもこの
“それは大した問題ではない”という哲学をもって生きてきた
アンディ・ウオーホル
次に、私なりに心掛けてきた“ストレスの対処法”を纏めてみます。大抵はこれまでのコラムで触れてきたものです。参考になれば有難いな…と、思いますが、どうぞご自分なりの対処法を大切に生きて下さいね。
自分に嘘のない生き方をすることで、ストレスは大きく減ってきます。
“自分大切そして他者大切”です。まず自分自身の幸せために生きましょう。
あなたの“心が喜びそうな10ヶ条”を作っておきましょう。ストレスを感じたときそれを睨んで、その時出来そうなことをやってみて下さい。
呼吸を取り戻すことは自分に返る一番の方法です。自分を見失っているな…と感じたら、意識的に呼吸を2~3分してみることで自分軸を取り戻します。
ストレスを感じたら、敢えて笑顔を作って笑ってみましょう。不思議ですが、口角をギュっと上げて作り笑いをしただけでも、私たちの“脳”はその気になって、脳内物質(ホルモン)を分泌して細胞を活性化し、気持ちを明るくしてくれるらしいのです。
だいじょうぶ!心配するな 何とかなる!
一休禅師