私が後悔することは、出来なかったことではなくやらなかったことである
イングリッド・バーグマン
Column 2019 No.75イングリッド・バーグマン
ヨーロッパと米国で、銀幕を華やかに飾った、往年の名女優のフレーズです。バーグマンが言っている通り、私たちも、やりたいと思いながらも、出来ないという理由をいっぱいくっつけて、挑戦しなかったことはなかったでしょうか。それは、いつまでも気持ちの中に無念さが残るものですよね。多くの賢者・識者も同じことを語っています。
後悔の中には、仕事上の後悔、人間関係上の後悔、夢実現が果たせなかった後悔…等々、色々な側面の後悔があるでしょう。今回は人間関係上における後悔や自分自身の人生を生きて来て、感じることに触れてみたいと思います。
気づかなくて、解からなくて、やらなかったことは仕方がありません。でも、無念さが残るのは、あの時ちゃんと気付いていたのに、お詫びのひとことが言えなかった…。本当は伝えたかったのに感謝のひとことが言えなかった…。それはとても後悔が残ります。後悔の念がいつまでも自分を傷つけてしまいます。
ある知人は、あの人に逢いたい…と、ずっと思っていたのに、多忙の毎日で、先送りにしていて、いざ逢おうと思った時には、その人は、もうこの世に居なかった…と言って泣いていました。“思ったが吉日”と言う至言がありますが、思った時に、思い切って!…が後悔のない生き方の極意なのかもしれません。
しかし私たちの多くは、自分からくる、そのひらめきや本当の感情よりも、社会に認められることこそが重要なのだ…と、人さまの為に、会社の為に、社会の為に…と滅私奉公の日々を送っている人も多いと感じます。マザーテレサが「世界平和の為に私たちは何をしたらいいですか…」と、インタビューを受けたとき、彼女が答えたことは、「…家に帰って、家族を愛してあげてください…」でした。後悔のない生き方はそんな身近なところにあるのかもしれませんね。
私自身もこれまでの人生を振り返ってみた時、自分や、他者の問題解決には、真摯に取り組んできたけれど、自分や家族との大切な時間を、結構見逃してきたことに気付いたのです。人生とは、問題解決の為だけにあるのではない。生きるためであり、楽しむためにあるのだと…。身近な人を愛するために、自分の人生を味わうために、感じるために、そして、気付くために、この人生を選んできたのだ…と。
今の瞬間に、こんなに美しい夜空を、また、道すがら見るこんなに美しい日没を、心に留めなかったら何と勿体ないことか…と。そして、我が子や友人との、再び来ない“今のこの瞬間”のふれあいや、心豊かなひとときを、心から楽しみ、心に留めていかなかったら、何とさみしい人生だろう…と。
家族で行きたいところに行ってみる。または一人で行ってみる
家族で食べたいものを食べてみる。または一人で食べてみる
逢いたい人に会ってみる
誰かに言いそびれていることがあれば、思い切って表現してみる
若い頃にやり損なったことや、途中で投げ出した未練のあるものをやってみる
思い切り無邪気に遊んでみる …等々、何と豊かでしょう!
私の愛読書で、レオ・バスカリアの「自分らしさを愛せますか」の中に掲載されている詩をご紹介します。この詩はベトナム戦争に出征していった恋人へのメッセージです。
覚えてる?
私があなたの新しい車を借りて、へこませてしまった時のことを…
殺されちゃうかと思ったのに、あなたはそんなことはしなかった
おぼえてる?
私があなたを浜辺にひっぱって行った時のことを…
あなたは雨になるっていった
そしてやっぱり雨が降った
“そうれみろ!”って言われちゃうかと思ったのに、あなたはそんなことはしなかった
おぼえてる?
やきもち焼いてもらいたくて、私が男の子たちと遊びまわった時のことを…
あなたはやっぱりやいてくれたわ
捨てられるかと思ったのにあなたはそんなことはしなかった
(中略)
おぼえてる?
私がフォーマルなダンスパーテイだってことを言い忘れて、あなたがジーンズで来てしまった時のことを…
もう絶交されちゃうかと思ったのにあなたはそんなことはしなかった
あなたがしなかったことは、たくさんたくさんあった
あなたは私のことを我慢し、愛し、私を守ってくれた
お返しに、今度は私があなたに沢山のことをしてあげたい
あなたがベトナムから帰ってきたら…
でも、あなたは、帰っては来なかった…
彼(恋人)は、その時々に自分が出来る、精いっぱいのことを、彼女に表現してきました。一方 彼女は“彼の愛に甘えてばかりで、私が彼のために何をやってきただろうか…”と、気付いたときには、彼はすでに帰らぬ人だった…。
詩のテーマは「あなたがしなかったこと」…になっていますが、実は、今回のコラムで伝えたかった“やらなかったこと…への無念さ”が、この詩からしみじみと伝わってきたのでした。
何かをしてしまったという後悔は、時が和らげてくれる。
しかし、何かをしなかった…という後悔は癒されることはない
シドニー・ハリス
やってしまったことは、例え失敗しても20年後には笑い話に出来る。
しかしやらなかったことは20年後でも悔やむだけである
マーク・トウェイン
後悔の中には、仕事上の後悔、人間関係上の後悔、夢実現が果たせなかった後悔…等々、色々な側面の後悔があるでしょう。今回は人間関係上における後悔や自分自身の人生を生きて来て、感じることに触れてみたいと思います。
気づかなくて、解からなくて、やらなかったことは仕方がありません。でも、無念さが残るのは、あの時ちゃんと気付いていたのに、お詫びのひとことが言えなかった…。本当は伝えたかったのに感謝のひとことが言えなかった…。それはとても後悔が残ります。後悔の念がいつまでも自分を傷つけてしまいます。
ある知人は、あの人に逢いたい…と、ずっと思っていたのに、多忙の毎日で、先送りにしていて、いざ逢おうと思った時には、その人は、もうこの世に居なかった…と言って泣いていました。“思ったが吉日”と言う至言がありますが、思った時に、思い切って!…が後悔のない生き方の極意なのかもしれません。
しかし私たちの多くは、自分からくる、そのひらめきや本当の感情よりも、社会に認められることこそが重要なのだ…と、人さまの為に、会社の為に、社会の為に…と滅私奉公の日々を送っている人も多いと感じます。マザーテレサが「世界平和の為に私たちは何をしたらいいですか…」と、インタビューを受けたとき、彼女が答えたことは、「…家に帰って、家族を愛してあげてください…」でした。後悔のない生き方はそんな身近なところにあるのかもしれませんね。
私自身もこれまでの人生を振り返ってみた時、自分や、他者の問題解決には、真摯に取り組んできたけれど、自分や家族との大切な時間を、結構見逃してきたことに気付いたのです。人生とは、問題解決の為だけにあるのではない。生きるためであり、楽しむためにあるのだと…。身近な人を愛するために、自分の人生を味わうために、感じるために、そして、気付くために、この人生を選んできたのだ…と。
今の瞬間に、こんなに美しい夜空を、また、道すがら見るこんなに美しい日没を、心に留めなかったら何と勿体ないことか…と。そして、我が子や友人との、再び来ない“今のこの瞬間”のふれあいや、心豊かなひとときを、心から楽しみ、心に留めていかなかったら、何とさみしい人生だろう…と。
人生において 最も大切なとき それはいつでも今です
相田みつを
後悔を残さない為に、私は今を大切にして生きていこうと思い始めたのです。今のこのひとときに、「今何がやりたい?」と自分によく尋ねます。この人生で自分が幸せになるような何かをしたい…。今の瞬間を、忘れがたいひとときにするために今、私の心が喜ぶような何ができるか…。そして家族と触れ合える幸せなひとときの為に何ができるだろう…と。できない理由を捜すことはとりあえずやめて、いま自分が心惹かれるものを、気まぐれにやることもあります。思いつかない時には、今、自分ができそうなことを、リストから選んでやることもあります。「心が喜ぶ私のやりたいリスト一覧」を作っていて、抹消したり、付け加えたり…結構面白く利用しています。人生の終わりに、あまり“やり残し感”が残らないように。
家族で行きたいところに行ってみる。または一人で行ってみる
家族で食べたいものを食べてみる。または一人で食べてみる
逢いたい人に会ってみる
誰かに言いそびれていることがあれば、思い切って表現してみる
若い頃にやり損なったことや、途中で投げ出した未練のあるものをやってみる
思い切り無邪気に遊んでみる …等々、何と豊かでしょう!
私の愛読書で、レオ・バスカリアの「自分らしさを愛せますか」の中に掲載されている詩をご紹介します。この詩はベトナム戦争に出征していった恋人へのメッセージです。
あなたがしなかったこと
覚えてる?
私があなたの新しい車を借りて、へこませてしまった時のことを…
殺されちゃうかと思ったのに、あなたはそんなことはしなかった
おぼえてる?
私があなたを浜辺にひっぱって行った時のことを…
あなたは雨になるっていった
そしてやっぱり雨が降った
“そうれみろ!”って言われちゃうかと思ったのに、あなたはそんなことはしなかった
おぼえてる?
やきもち焼いてもらいたくて、私が男の子たちと遊びまわった時のことを…
あなたはやっぱりやいてくれたわ
捨てられるかと思ったのにあなたはそんなことはしなかった
(中略)
おぼえてる?
私がフォーマルなダンスパーテイだってことを言い忘れて、あなたがジーンズで来てしまった時のことを…
もう絶交されちゃうかと思ったのにあなたはそんなことはしなかった
あなたがしなかったことは、たくさんたくさんあった
あなたは私のことを我慢し、愛し、私を守ってくれた
お返しに、今度は私があなたに沢山のことをしてあげたい
あなたがベトナムから帰ってきたら…
でも、あなたは、帰っては来なかった…
彼(恋人)は、その時々に自分が出来る、精いっぱいのことを、彼女に表現してきました。一方 彼女は“彼の愛に甘えてばかりで、私が彼のために何をやってきただろうか…”と、気付いたときには、彼はすでに帰らぬ人だった…。
詩のテーマは「あなたがしなかったこと」…になっていますが、実は、今回のコラムで伝えたかった“やらなかったこと…への無念さ”が、この詩からしみじみと伝わってきたのでした。
コラムを読んでワクワクしました。
返信削除私は自分と家族とを考えてみるとこれまで家族の方に少し比重が傾いていたように思います。親業のおかげで我が子達は「とんびが鷹を生んだ」的に育った(私の私見100%)のでこれからは私自身に比重を傾け、「我がまんま」で生きて行こうと思いました。
このコラムを読んで感じたことを自由にコメントさせてもらうことも有り難く私のまんまで感謝しています。
MOONさま
削除ほんと!MOONさんのお子さんたち 一人ひとり しっかりと自分軸を持って 素敵に育ちましたよね。でも子どもが鷹なら 親はやっぱり鷹ですよ(笑)
MOONさんの「…これからは自分自身に比重を傾けて我がまんまで生きていこう…」と、書いていらっしゃいました。私が今回のコラムで伝えたかった "後悔のない生き方" の大切な姿勢のひとつだと思いましたよ。お互いに後悔のない生き方をしていきましょうね。