2024年7月20日土曜日

「依存」と「自立」

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Column 2024 No.134

 社会においても家庭内においても、「自立」はいつも大切な要素として語られます。真の自立とは何でしょうか。

 「自立」とは、自分の人生を自分が主役で生きるということであり、他者に依存しないで生きていける力です。自分の趣味を楽しむ。友達をつくる。新しい技術を習得する…といったような、自分が自由に出来る範囲で、自分自身でやりたいことが決定でき行動できる力です。自分の幸せを周りに期待しない生き方です。

 自立心!自分自身を頼りにする気持ちだ。
 自分自身以外の物事に必要以上に影響されないことだ
 村上 龍(作家)

 自分自身だけを頼りにして、他者と関わることを厭い“自分は自分だ”と自分の枠の中にだけいるとしたら、それは自立しているのではなく、単に孤立している人と言えるかもしれません。村上氏が「…必要以上に影響されない」と表現しているように、真に自立した人は、他者にあまり影響されることはないにしても、無関心ではありません。つまり相手の人が困っていれば助けの手を差し伸べるでしょうし、自分が困ったら相手の人に助けを求めることも出来るでしょう。

 人間は一人では生きていけないのです。何かの時に人さまに頼れる人は素晴らしい能力です。誰にも頼れない人は、多くの場合、ベースに“人間不信”があり、人との付き合いに対して怖れがある為、人との間に壁を作ってしまいます。真に自立した人は、とてもバランスのいい人と言えます。ベースに“人間信頼”があるので、自分軸を持ちながら、必要あれば知識のある人から知識を頂き、技術を持っている人からは技術を頂き、自分自身も他者からの要請があれば喜んで協力出来るのです。

 「わたし」の価値を他人に決めてもらうこと、それは依存です。
 一方「わたし」の価値を自らが決定すること。これを自立と呼びます。
 岸見 一郎(哲学者・心理学者)

 自立した人は、自分自身の中に価値基準を持っていますので、他者からの評価をあまり気にしていません。自分は自分だ…と、ありのままの姿で生きています。だから他者に対しても柔軟性と幅をもって接することができるのです。

 さて、自立の要素には色々な側面があります。

 「ものの考え方」「価値観」「ジェンダー観(男性・女性)」「感情」「自他分離感」…等々、自立とはこれらの要素が一人ひとりの中でどれだけ支配できているか…ということでもあります。

ものの考え方・価値観
 「事実」はひとつですが、ものの考え方、捉え方、つまり「真実」は人の数ほどあります。そのため価値観も「いい・悪い」「正しい・正しくない」と言った判断が出来るものではありません。よって自立した人は他者の価値観を批判することはありませんし、自分の価値観を堂々と表現できるのです。

ジェンダー観(男性・女性)
 これまでは男性優位の時代だったと言われます。社会的にも男性が優遇され、仕事面でも確かに性差がありました。“男性は社会に女性は家庭に”…のように。しかし近年はこれらの価値観はかなり形を変えてきましたね。一人ひとりが自立し、ジェンダー観が少しずつ変容していった結果でしょう。また子育てには、父性も母性も必要です。父性の社会性や表現力、母性の受容能力。双方の要素があって初めて子どもの心は育ちます。しかし必ずしも父性は父親から、母性は母親から…ということではなく、その人ひとりの中に男性性と女性性の心地いいバランスを持っていれば、例え“ひとり親”であっても子どもは立派に育つのです。ジェンダー観(男性・女性)からの自立とは、性別の違いを事実としてちゃんと受け入れた上で、一人ひとりの中での男性性と女性性を統合していく力です。

感情の支配・自他分離
 自立した人は、自分自身の感情、例えば怒り・不安・心配・悲しみ…等々の感情を価値判断することなく、真っ直ぐに感じ取ることができます。しかもその感情を自分自身でコントロールできるので、怒りから癇癪を起したり、不安心配から泣き叫んだり落ち込んだり…など、大きくバランスを崩すことはありません。そして自分自身の思いについての“自己表現”や、他者からの意見の“傾聴”をバランスよくできるのです。

 また自立した人は、自己表現するところまでが自分の責任と考えます。それにどう反応するのかは相手の責任…といった自他分離感を持っています。だから第三者に何かを言われて傷ついたとしても、“傷つけられた”とは言いません。“自分が傷つくことを選択した”と、あくまでも自分の感情に責任を持っています。逆に自分の言葉で相手が怒ったとしても、意図的に怒らせたのでなければ“怒らせてしまった”とは言いません。相手の感情は相手のもの…ということを理解しているからです。

 社会が健全に機能するためには、
 それを構成する人たちが一致団結するだけでなく、
 一人ひとりが「自立」することが何より大切なのです
 アルベルト・アインシュタイン

*次回のコラムは2024年8月20日前後の予定です。

3 件のコメント:

  1. Kiyokoさま

    返信が遅くなりました。

    そうでしたか…。何となくご主人さまの機嫌が気になって、楽しんだ後でも機嫌を損ねないように急いで帰途に着く。それでも恐る恐る…。しかしKiyoko さんはその怖れを感じては手放していくことを本気でやっていらしたのですよね。その結果、徐々にご主人さまも変化されて大きな怒りや不機嫌になられることは少なくなった。

    しかし今回、二日続けての友達との楽しみのあとは、さすがまだ潜在的にその怖れが残っていたけれど、何と翌朝のご主人さまは怖れていた不機嫌な様子は全くなく普通に会話ができた‥本当に心嬉しい状況が展開!!したのですね。

    Kiyoko さんにはいつの間にか“自分軸”という自立の軸が自分の中に出来ていたことを更に確認されて心安らぎましたね!潜在意識にある怖れまでクリアになってきました。Kiyoko さん本当に努力してこられましたものね!

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  2. 社会が健全に機能するためには~~~一人ひとりが「自立」することが何より大切なのです 
    アルベルト・アインシュタインさんの一文が心に残りました。

    自立の要素にある色々な側面・・・私は先生から親業スキルを教わり三人の子育てを通して自立の大切さ、必要性を理解し現在も真の自立に向けて進行中です。

    子どもたち、夫、周りの人々との関係で悪戦苦闘して必死にもがいていた日々に少しずつ光が射して来て息をするのが楽になったような気がしてきた頃に私は自立のスタートラインに立っていたように思います。
    真の自立に向けて現在進行中ですが今現在の自立がなければどうなっていたのだろうと思うのと
    人はみんな心の中に自立の力を持っていてその人なりの方法で自立の場所に立つことが出来るようになっているんだと感じます。

    自分に対して価値判断することなく自分の感じ方をそのまま受け入れて自分の中の自分の世界を構築し社会が健全に機能するよう気づき続けていきたいです。
    有り難うございました。

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    1. MOONさま


      いつも有難うございます。
      そう!MOON さんはお子たちを自立へと導き、続いてご自身の自立へと心が向かわれ、特にご主人さまからの自立に、本気で挑戦されていた時期がありましたね。必死でもがきながら…でもとても頼もしく感じていました。その頃からのMOONさんは堂々とした雰囲気が漂ってさらに魅力的になっていらっしゃいました。ご自分の呼吸ができ始めたのですね。本当に楽になられましたよね。そう!自立した人とは“自分の呼吸ができている人”と表現できるかもしれませんね。

      おっしゃる通り、人は皆一人残らず自立の力を持っています。みんな無意識を含めて「自己実現」に向かっており、自己実現とは真の自立の姿とも言えますものね。

      MOONさんの一文「自分に対して価値判断をすることなくそのまま受け入れて自分の世界を構築して社会が健全に機能するよう気づき続けていきたい…」アインシュタインの世界観が実現していく予感でワクワクします。

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